台長コラム ときどき土佐日記

2017年6月アーカイブ

【河北新報「ときどき土佐日記」2016年6月掲載原稿 ~原案・補足~】

 

「宇宙」という言葉の使い方について、以前から気になっていたことがありました。

「宇宙」という言葉は中国に古くからある空間・時間の広がりを表す言葉だそうですが現代では主な使い方が二通りあります。英語では、それぞれユニバース(Universe)とスペース(Space)という異なる言葉が使われています。

ユニバースは古くからある言葉で、あらゆるものを含む空間・時間の広がり(全体)で、本来の宇宙です。スペースは地球近傍の宇宙空間で、戦後宇宙開発とともに広く使われるようになりました。

航空宇宙業界では地上100㎞以上の大気圏外を宇宙と呼ぶそうですが、英語ではスペースです。地上約400㎞を飛行するおなじみの国際宇宙ステーションは英語ではインターナショナル・スペース・ステーション(International Space Station)、略してISSです。スペースでは宇宙飛行士、人工衛星あるいは探査機などを使った様々な活動が行われ、宇宙産業・宇宙ビジネスあるいは軍事利用などが追求されています(注1)。スペースの広がりはおよそロケットや探査機が到達できる範囲で、時間的にも人間が実感できるスケールです。

もう一つの宇宙、ユニバースはスペースを含む人間の感覚を超えた広大な空間・時間の広がりで、天文学の領域です。人類の歴史においては、神の世界、あるいは人智を超えたはかり知れない世界と考えられた時代が長く続きましたが、現代では科学の力、自然の法則によって理解できる世界です。私にとって、ユニバースは、スペースと異なり、手が届かない操作できない「生の自然」が魅力で、興味深い探求の対象です。