台長コラム ときどき土佐日記

2010年9月アーカイブ

第5回<前編> こうじ(詩人)→まこと(天文学者)へ

 

kouji.jpgまことさん、こんにちはー。
もう9月なのに、全然秋の気配がしない...。今年の残暑は厳しいですねー。
 
日記の更新、ありがとうございます。確かに、わからないもの、確認できないものは、すべてUFOということになって、イコール宇宙人の乗り物になってしまいますね。ぼくが見たのは、中3の時だったのですが、やはり、その時も「宇宙人が乗っている!」と決めつけてしまいました。(前回天文台に行った時、みなさんに話したのですが、あれは信じていない目でした)
 
USOの話ははじめてでした。それこそ、そうしたミステリーは世界中にあって、人々を惹き付けて止まないですよね。ぼくも、テレビで怪談ものとか怪奇現象みたいなものとかやっていると、ついつい見てしまいます。そして、夢中になってしまいます...。
 
最近、詩をつくる仕事を依頼されて、よく考えるのは、嘘とかほんとってなんだろう、ってことです。基本的に、嘘をつくのは良くないことで、人は相手にほんとのことを言ってほしいと思っています。詩もきっとそうで、ほんとのことを書いてほしいと望まれていると思います。でも、そこで、考えるわけです。ほんとのことってなんだろう、と...。
 
よく小学校に行って、ワークショップをするのですが、なかなか書けない子供がいると、「思いっきり、嘘を書こう」って言うと、すごい盛り上がるんですよね。そして、その言葉の中に、その子のほんとの気持ちがあるような気がしてくるのです。
 
そうそう、まことさんの日記にあった「雲は天才」という言葉、素敵ですね!これは、もうそのまま詩のタイトルになりますね!
今年の夏は、暑すぎて、何もすることができず、空ばかりずっと眺めていて、かなりサボり気味でした。雲の動きって、見ていて、ほんと飽きないです。ぼくは一緒に暮らしている犬の毛が、白いので、空を見ていると、雲がだんだん犬に見えてきて、空を散歩しているような気がしてくるのです。
 
「雲は天才」
 
雲は言葉みたいだ
なにも話さないけど
携帯も使わないけど
言葉みたいだ
いろいろおしゃべりしている
 
雲はひとりぼっちだ
雨とも仲好しだし
時々虹とも遊んでいるし
UFOともかくれんぼしているけど
なんか ひとりで
プカプカしている
 
雲になりたい
すごいなりたい
そんなことを思いながら
暑い夏の日に
滑り台にあがって
林檎をかじった

(9月4日) 

第5回<後編> まこと(天文学者)→こうじ(詩人)へ

makotokao.jpgこうじさん、お元気ですか。ボクの方は、なんとか猛暑の夏を乗り切れたようです。

こうじさんの経験、小学生とのワークショップで「思いっきり、嘘を書こう」という話、面白いですね。「その言葉(嘘)の中に、その子のほんとの気持ちがある」、まさに「嘘からでたまこと」ですね。

学生時代、「とさまことです」と自己紹介すると、よく「嘘から出たまこと」とからかわれたことを思い出しました。冗談でも、ちょっと気になる言葉でした。嘘と言う言葉に何となくネガティブな感じがしたからです。

でも、ほんとうに「嘘とかほんとってなんだろう」と考えてしまいますね。そこで、「嘘」を辞書で引いてみました。ところで、今気がついたのですが、手元にある辞書はなんと「こうじえん」。こうじさんの名前、もしかして「辞書からでたこうじ」、言葉で仕事をする人にふさわしい名前ですね。

辞書には「真実ではないこと」とか「正しくないこと」などとありました。でも、「嘘を言う」とか「嘘をつく」という風に使うと、何となく事実ではないことを自覚している、意図・意志があるように感じますね。だから、嘘を重ねると、隠れていた真意・真実が自ずから現れてくるような気がします。

そういえば、幼少の頃、親に隠し事をして、言い訳に嘘を重ねているうちに、無意識に隠し事をしゃべってしまったことがありました。

「事実ではないこと」となると、フィクション・物語のように想像力によって創造されたものも含まれますが、これは嘘とは言いたくないですね。

科学の世界でも、「事実と違っていた」という意味では嘘がたくさんはあります。科学は未知の自然を解明しようとするものですから、無知や思い込み、あるいは不適切な研究方法などによって、科学者はしばしば間違いを犯します。そこで、観測や実験によって検証し、間違いを修正しながら真実に近づこうとします。これが科学の精神ですね。

でも、最近、実験データの捏造など、悪質な嘘のニュースがありましたね。激しい競争や成果主義など、短期間に研究成果を上げなければならないような強い圧力のもとでおこりましたね。そのような圧力が科学の精神を押しつぶしてしまいます。大発見には要注意です。

 嘘にもイロイロありますが、心の緊張を解いたり、ユーモアに富んだ楽しいウソ(ホラとも言いますね)は大好きです。そこで思い出したのが、河合隼雄さんの『ウソツキクラブ短信』河合隼雄,大牟田雄三(共著)、講談社1995年です。先年亡くなられた有名な心理学者・心理療法家の河合さんですが、日本ウソツキクラブ会長ということです。河合さんは(まじめな!)心理学や心理療法の本をたくさん書かれていますが、その河合さんの「ウソの本」ということで興味がありました。

この本を読んでいると、何がホントかウソか分からなくなるのですが、そこが面白い。例えば、この本の共著者の名前を見ると大牟田雄三(おおむだ ゆうぞう)、何か怪しい気がします。何かウラがあるような気がして、表紙カバーの裏を見ると、国際ウソツキクラブ会長の言葉が紹介されていました。「Believe it or not, the truth lies here」。何と訳すのでしょうか。「信じようと信じまいと、真実はここにある」。それとも「真実はここでウソをつく」。そして、国際ウソツキクラブ会長の名前は「ライアー」。多分、英語のスペルは「Liar」。辞書が必要ですね。

こうじさん、ところで、ウソはどこにでもありますが、「ホンモノ」はどこへ行けば見られると思いますか?

答えは、図書館か、本屋さん! 

残暑に寒い思いをさせてしまったかな? でも、これホントです。本から多くの真実を学ぶことができると思います。言葉も天才ですね!
 
(9月15日)


バックナンバー→ vol.4vol.3vol.2, vol.1