台長コラム ときどき土佐日記

2017年4月アーカイブ

【河北新報「ときどき土佐日記」2016年4月掲載原稿 ~原案~】

 

古代の哲学(アリストテレスの哲学など)では、月から始まる天上界は神聖にして完全無欠の不変な世界であり、一方、地上は変化と混乱の不完全な世界でした。天と地は最もかけ離れた世界として峻別され、その類似性を唱えることなどもってのほかでした。そのような時代が古代から中世にかけて長い間続きました。月も完全無欠神聖な球体と考えられていたので、ガリレオが望遠鏡を月に向け、その表面に地上と同じような凸凹を見たなどということは「もってのほか」というわけです。

ということで、「天と地」は最もかけ離れたことを対比させる言葉です。その隔たりをウィリアム・シェークスピアは、ハムレットが親友ホレイショーに向けた台詞で「ホレイショー、天と地の間にはお前の哲学など思いも寄らぬ出来事がある」と表現しています。

幼少の頃、私は宇宙に興味を持ち、その天と地の間に宇宙という遊び場を見つけました。私にとって宇宙の入り口は月でしたが、今も最も身近な天体で、見るたびにいろいろなことが思い浮かびます。

もし天と地が入れ代ったら、それは思いもよらぬことですが、それが20世紀になって実際に起こったのです。

 

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図1:月から見た最初の地球(1966年ルナー・オービター1号が撮影)

©The Lunar Orbiter Project, NASA

 

 

仙台市天文台広報担当・熊田美波

 

土佐台長は、昨年(2016年)4月から河北新報紙(毎月第一土曜日夕刊)に「ときどき土佐日記」と題して短文(随想)を連載させていただいておりました。市民からの要望などもあり、ここに再録したいと考えていたところ、河北新報社から快諾を得ましたので、ここに再録することとになりました。

この原稿執筆にあたり、台長はいつも文字数がオーバーし文字数の調整に苦労していたようでした。

実は、台長が最初用意する原稿は、最終稿よりかなり長いもので、それを削って最終原稿を仕上げているということでした。そこで、短縮する前の原稿の公開をお願いしたところ快諾を得ましたので、「原案」もあわせてここに掲載いたします。河北新報紙の文章を補うものとして興味深いものがあるとおもいますので、河北新報紙の文章とあわせてお読みいただければ幸いです。