まことが返事を書きましたvol.14(最終回)

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第14回<前編> こうじ(詩人)→まこと(天文学者)へ

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まことさん、こんにちは!
 
残念ですが、今回でこの連載も最終回になります。。。
 
この時期ははじまりの季節でもあり、なにか区切りをつける季節でもあるんですよね。
 
実はまことさんとの日記のやりとりから、いろいろ書いていたものがあって、いつか発表したいと思っていたものがいくつかあります。

今回は最後ということで、少し載せようと思います。
 
なので、ちょっとまとまりがない文章になると思いますが、お許しください。
 
実は、月の詩もいくつか作ってあったのですが...。
今回はまことさんの日記を受けて「月を食べる」を載せます。
 
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月を食べる
 
ビルと教会の間にある
公園を歩きながら
月を食べてみた
いつかこの病気も治るかな
そんなことを想いながら
気がついたら
いろんなものを部屋に忘れてきた
とりあえずマフラーで
できるだけ顔を隠していこう
進まないと終りだと言われる
みんなつまらないのに
大人になれる
電話は切ったはずなのに
まだ話は終わっていない
カボチャの馬車に乗って
絵文字の月を空に置こう
ぼくのはじまりにいこう
そこでのぼくは
ちょっといい奴なんだ
 
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日記を読み返してみると、はじまったのが2010年。2年前といえば、まだそんな前じゃないのに、ずいぶん昔のようにも思えます。}

ぼくはプラネタリウムで詩を読むようになって、宇宙や星に対する興味がさらに湧いてきました。子どもの時から、感じていたことや、不思議に思っていたことを、改めて考えたというか...。

きっと、この日記を始めた時は、素朴な疑問をいろいろと訊いてみようと思っていたんだと思います。だけど、いざ書いてみるとなかなか難しい...。

いつも何度も読み返しては、直し、最終的にはなんか、物足りないものになってしまう感じがありながら、更新していました。
 
そうそう、この連載はいろいろなところで話題になりました。友人、知人はもちろん、仕事などで出会った方も、よく話題にしてくれました。

その際に言い訳がましく、上記したようなことを言うと、みんな「わかる、わかる」と言ってくれました(特に男性)。

きっと宇宙や星というのは、そんな風にみんな、興味があって、いろいろ知りたいんだけど、いざ言葉にしたり、話のテーマにすると、なんか不思議に思っていたことから、ズレていってしまうものなのかもしれません。

ぼくはこの連載のおかげで、いろんな方と星や宇宙、プラネタリウムのことなどを話すことができて、刺激的でした。まさに「宇宙を身近に」ですね。
 
それから、まことさんはすごい読書家ですよね。まことさんの中にある宇宙に触れることは、まことさんの言葉に触れることでした。
 
ぼくは、この連載の間に、文学館の作品をまとめた本、動物園の作品をまとめた本、そして、天文台で発表してきたものをまとめた本を作りました。

それは、ぼくにとって、とても充実した活動であり、仕事でした。うまく言えないのですが、なんか、いろんなことが見えてきたような気がしていたのです。

そんな中、2011年3月11日がありました。見えていたもの、触れていたもの、そして感じ、考えていたことが、今はわからなくなっています。
   
うーん、長くなってきたし、うまくまとめられなそうなので、この辺にします。すでに何度も読んで、書き直していて...。詩を載せるタイミングを見失ってしまいました。

なので、最後にもう一つだけ、詩を載せたいと思います。
 
まことさん、今まで、ありがとうございました!
 
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銀河の途中
 
携帯の待ち受けを変えるように
宇宙の模様を変えた
4つの季節がちょっと意地悪をして
ロケットを迷子にしてしまう
一日が横に広がる
今、何時かな?
雨に濡れたけど
いいよね
うん、いいよね
 
思いがけないプレゼントを
さりげなく渡すようなイメージ
今 はじめての宇宙
星屑のタトゥーを心に入れたら
バターみたいに想い出が溶けていった
もうすでにたくさん働いた
だからたくさん帰りたい
宇宙みたいにゆっくりいなくなれたら
いいな

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(3月2日) 

 

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