仙台市天文台について

台長からの2017年のご挨拶


2017年「We♡(ラブ) 天文台」から「We♡(ラブ) 宇宙」へ

 

 仙台市天文台(以後天文台)は1955年に仙台市青葉区西公園に開台しましたが、2008年に現在地青葉区錦ケ丘に移転し今年10年目を迎えます。天文台は市民との協力で誕生した市民の天文台として皆さんに親しまれてきました。それを引き継ぐ形で、移転とともにスタッフも設備も一新し、新しい天文台に生まれ変わりました。学校教育・社会教育・生涯学習施設として広く市民に活用していただき、昨年末で延べ入館者数が270万を超え、来年2018年には300万に達する見込みです。

 

 新天文台の開館にあたり、施設のミッション(果たすべき使命・役割)を分かりやすい言葉で表現しようと考え「宇宙を身近に」という言葉を掲げました。皆さんに宇宙を身近に感じていただけるような活動をしようという趣旨です。宇宙が身近に感じられるようになる活動はいろいろありますが、私は宇宙の理解が深まって身近に感じられるようになることを願っています。

 

 このミッションを実現するために、天文台では3年ごとに中期目標を設定し活動の指針としています。昨年までの3年間は、皆さんに「We♡天文台」と言っていただけるような愛される天文台を目標としました。この3年間「We♡天文台」を合言葉に活動してきましたが、幸い多くの方々に来館いただき、また市民による様々な活動も活発に行われ、この中期目標が達成されたと感じています。

 

 昨年、スタッフ全員で次の3年間の中期目標を議論してきました。そして天文台を愛してくださる皆さんがさらに宇宙が好きになることを願って「We♡宇宙」という言葉を選びました。皆さんに、もっと宇宙が身近になって「We♡宇宙」と言っていただけるような天文台をめざします。

 

 プラネタリウムの映像や天体写真は美しく、時に神秘的に見えますが、その背後のリアルな宇宙を想像することも楽しく興味深いことです。また、天文台で土曜日の夜開催される天体観望会では、ひとみ望遠鏡を通してリアルな宇宙に直接触れることができます。さらに、展示室では、望遠鏡で見た小さな赤い光の点が実は晩年を迎えた巨大な星であることや、小さな淡い光の雲の正体が数千万光年かなたに数千億の星が集まった銀河であることなど、奥深い宇宙の仕組みや営みを知ることができます。天文台ではこのようにリアルな宇宙に触れる機会を用意し、皆さんがお気に入りの宇宙に出会えることを願っています。

 

 天文台は、施設の長期計画の中で10年ごとに展示の更新を行うことになっており、来年がその更新の年に当たります。今年は、これまで練ってきた更新プランを具体的に実行し、来年の4月には新しい展示室をご披露したいと考えています。この機会に、天文台を愛してくださる皆さんにも宇宙のイメージを更新していただき「We♡宇宙」と言っていただけることを願っています。

 

 仙台市天文台台長
土佐誠 サイン

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