台長コラム ときどき土佐日記

第8回<前編> こうじ(詩人)→まこと(天文学者)へ

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まことさん、こんにちは。
 
この連載はなんとなく締め切りがあって、それはぼくのワンコインプラネタリウムの開催日(毎月第2土曜日)までに書くというものなんですが、今回はぼくが体調を崩してしまい、入院するということになり、連載も書けなくなり、ワンコインプラネタリウムも休んでしまいました。ワンコインプラネタリウムは12星座のリーディングなので、ぼくにとって毎月プラネタリウムに行くというのは、とても大切なことだったのですが、それに穴をあけてしまうなんて、とても残念です。なにより、突然のことだったので、アナウンスが間に合わず、当日来ていただいたお客さんもいたとのことで、本当に申し訳なく思っています。
 
今は退院して、自宅で休んでいます。今年の年末は静かに過ごしています。
 

 
前回のまことさんの日記を読み返してみると、LPの話からはじまり(ぼくも結構持っています。やはり同じタイトルのCDも)、過去についての話がありますね。確かに、過去にこだわっていると、とても後ろ向きに思われてしまいます。でも、まことさんの日記を読んで、やはり過去に対してのアプローチは大切なことだと思いました。宇宙や星のことは、未来の話のように思うけれど、やはり過去につながっていて、しかもまだ解き明かされていないことがたくさんある...未来は過去を解き明かしていくことによって、作られていくと思うと、今見えている星たちがとても大切なことを伝えているように思えてきて、なんだか感動してしまいます。
 

 
プルーストの『失われた時を求めて』の話。「プルースト友」っていいですね!ぼくも学生時代とても苦戦しながら、読みました。正直、理解できなくて、何度も挫折しかけました。でも、文学を語り合える友達と張り合って読んでいたので、なんとか読みました。あの時、ぼくはその友達に「この本はわからない、難しい」といえる勇気がありませんでした。そして、この本を完成させることのできたプルーストに圧倒されました。『失われた時を求めて』なんと素晴らしいタイトルなんでしょう。今、読み返してみたら、どう感じるか、ぼくもこの冬は時間があるので、挑戦してみようかな...。あっ、サルトルの自伝のことは知りませんでした。これも早速手に入れたいと思います。
 

 
年が明けたら、「望遠鏡で月をみる会」をお願いします。この日記と12星座はぼくの大切な連載ですが、やはり月も忘れるわけにはいきません。月の連載も考えたいです。
 
最後にクリスマスの詩を載せたいと思います。
 
まことさん、今年はいろいろとありがとうございました!
 
そして、みんなのクリスマスが良いクリスマスになりますように☆
 
暖かい夜だけど
雪が落ちてきて
 
星は消えたけど
街は明るくて
 
大切なもの 一つ 二つと
数えれば ツリーみたいに
心 チカチカ
 
言葉にできないけど
話さなきゃ
 
マフラーをまいて
明日 ほんとの気持ち
そっといなくなる
 
***

(12月24日)
 
第8回<後編> まこと(天文学者)→こうじ(詩人)へ
 
makotokao.jpg こうじさんへ。
 
ご無沙汰しておりました。言い訳をしていると長くなるので、長旅から帰ったと思ってください。震災後もこうじさんの元気なお顔を何回か拝見したので、まずは安心してそのままになってしまいました。

震災からもう5カ月になろうとしていますが、今でも人に会うとまず震災の話になってしまいますね。

震災後、気になることがいろいろあるのですが、そのひとつが言葉です。停電が回復してテレビが見られるようになると、どのチャンネルでも「ニッポンは強い国」、「がんばれニッポン」、「ニッポンを元気に」といった言葉が何度も繰り返されていました。以前は特に気になる言葉ではなかったのですが、何度も勢いよく繰り返されると、食べきれない大盛りのご飯を勧められたような、飲み込めない、消化しきれないものが残りました。

少し落ち着いてきた頃、「被災者へのメッセージ」を求められることが何度かありました。でも何といっていいか言葉が出てきません。無理に求められると、あいまいな言葉や、「元気・・・」と型にはまったことを言ってしまいます。口先だけの空しいことを言ってしまったようで落ち着きません。遠くの山を眺めたり、雲を見上げながら後味を噛みしめることがありました。

惻隠(そくいん)の情を自分の心に近い言葉で表したいと思うのですが、なかなか思うようにできません。言葉って難しい、そんな思いが続いています。こうじさんは、震災後もいろいろな活動をされていましたが、いかがですか。
 
震災で市内の本屋さんが何軒か閉じられてしまい悲しい思いをしました。先日再開した本屋さんをのぞいたら、森毅著『元気がなくてもええやんか』(青土社)が目にとまりました。著者の森先生は数学者ですが、エッセイやテレビでもおなじみです。表紙の文字から「・・・ええやんか」という森先生の声が聞こえるようで、なんとなく心が軽くなって少し元気が出る思いがしました。昨年亡くなられましたが、独特の語り口と風貌が目に浮かびます。

今日はここまで。では、こうじさんお元気で。アッ、「元気」って言っちゃった。気にしないで下さい、と言ったものの気になったので「元気」を辞書で引いてみました。「天地間に広がり、万物生成の根本となる精気」(『広辞苑』)とありました。「元気」って何か根源的なモノなんですね。 
 
(8月4日)

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