台長コラム ときどき土佐日記

 台長に就任以来、出張の度にできるだけその地方の天文台・科学館・博物館・美術館などを訪ねるようにしています。仙台市天文台の参考になることがあればということです。先日(9月14日~16日)、山口大学で日本天文学会秋季年会が開催された折、プラネタリウムがあるというので、津和野の安野光雅美術館に行って来ました。実は、私は安野さんの絵が好きなので、原画にも興味がありました。また、以前に安野光雅著『故郷に帰る道』(岩波書店)を読んで津和野の街並みにも関心があったので楽しみでした。

 プラネタリウムの投影まで時間があったので、駅前で自転車を借りて町内を一回りし、森鴎外記念館や葛飾北斎美術館などを見学しました。津和野は私が想像していたよりずいぶん小さな山間の町で、美しい懐かしい街並みや風景が残っていました。

 プラネタリウムは、入場者が2人だけで申し訳ないようでしたが、全自動のプログラムで少し気が楽になりました。星空の投影の前に、映像による安野さんの挨拶とお話がありました。安野さんの絵本『天動説の絵本―てんがうごいていたころのはなし』(福音館書店)の絵を用いた話で、何故この美術館にプラネタリウムを設置したか説明がありました。正確には記憶していませんが、その趣旨は次のようなものでした。

 絵画や美術は想像や空想を自由にふくらませて表現するものですが、一方、現実の自然を科学的に見る目や論理的思考も大切です。そこで、プラネタリウムを設置し、天文学を通して科学に触れていただこうということでした。科学と空想のバランスを取ることが大切だという話で、私も同感です。私には、安野さんの絵は非常に論理的で安心感があるのですが、そこに非論理あるいはあり得ないことを描いて驚かせます。意表を突く、論理と非論理の対比がとても面白く感じます。

 美術館には昔の学校の教室を再現した部屋もあって、私も幼少時代を思い出しました。その頃、学校にプラネタリウムがあったらさぞ楽しかっただろうと思いました。