2020年7月中旬以降、宵の空にネオワイズ彗星(C/2020 F3)が見られます。日の入りから1時間ほどが経過した時間帯が観察しやすいでしょう。観察のおすすめは新月となる7月21日前後の数日間で、3等から4等程度の明るさになると予想されています。北西の空低いところに尾を引く彗星の姿を探してみましょう。なお、高度は20°程と低く、肉眼では見つけにくい明るさのため、双眼鏡や望遠鏡での観察が適しています。
7月下旬以降、8月4日の満月に向けて月明かりの影響がありますが、徐々に太陽から離れて位置が変わる様子を追うのもよいでしょう。太陽から離れるにつれて彗星は暗くなっていくため、あらかじめ位置を確認してから探すのがおすすめです。
※彗星の明るさは予測値であり、今後彗星の核崩壊等の影響によって実際の等級が変わる可能性があります。
※図「ネオワイズ彗星の位置変化 仙台」は、背景の星座に対する彗星のおよその位置を示しています。
彗星って、なに?
彗星は、長く尾を引いた姿が特徴の天体です。主成分は氷と微量のダスト粒子で、大きさは数キロメートルから数十キロメートル程です。細長い楕円軌道を持ち、数年から数万年に一度の割合で太陽を周回する彗星のほか、放物線状の軌道を持ち、一度太陽に接近したら二度と戻ってこないものなど、様々な種類があります。
彗星が太陽から遠いときには尾はありませんが、太陽に近づくと成分中のガスや塵が噴出し、尾が現れます。太陽に近づくにつれて尾は長く明るくなることが多くなります。
また、太陽の重力や温度などの影響により彗星の核が砕けると、予想された等級よりも明るさが急激に変化することがあります。
「ネオワイズ」彗星の由来
ネオワイズ彗星は、2020年にネオワイズ(広域赤外線探査衛星/Near-Earth Object Wide-field Infrared Survey Explorer ―NEOWISE)と呼ばれる観測により発見された新しい彗星です。
名称は「C/2020 F3」という符号で表され、①「C」は彗星を示すcomet、②「2020」は発見年を西暦で表した数字、③「F」は発見された月を示すアルファベット、④は③の期間内において発見された順番を示す数字を表します。
※アルファベットのI(アイ)は、Lの小文字のlや数字の1との誤認を防ぐため用いていない