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星(恒星)が急に明るさを増して、まるで新しい星が生まれたように見える現象を「新星」と呼んでいます。
そして、新星の中でも非常に明るく輝くものを「超新星」と呼んでいました。
しかし、研究が進むと「新星」と「超新星」は全く別の現象であることが分かってきたのです。
【新星】
恒星が数日のうちに急激に明るくなり、その後数ヶ月から数年かけてゆるやかに暗くなって元の状態にもどるのが「新星」です。
明るさはおよそ8等級から15等級以上も増えるといわれます。
新星の正体は「白色矮星」です。
巨星に進化しつつある恒星から近接した連星系をなしている白色矮星へとガスが流れ込み、白色矮星の表面に降り積もったガスが核爆発を起こすことで明るさが増します。
輝きが弱まった後もその星は残っているため、再びガスが降り積もることことで定期的に繰り返し起きると考えられています。
▲新星爆発の想像図
巨星(右)から白色矮星(左)へとガスが流れ込む
(Illustration Credit & Copyright: David A Hardy & PPARC / NASA)
【超新星】
超新星は、恒星全体が爆発することで急激に明るくなります。
星が粉々になるため、新星と異なりしばらくすると肉眼では見えないくらい暗くなります。
超新星には連星型だけでなく単独星型があり、それぞれ爆発の原理などが異なります。
また、爆発後に残された星雲は「超新星残骸」と呼ばれます。
・連星型(Ⅰa型(※))
連星型の超新星が起きるシナリオには2種類あります。
1つめが、新星と同じように連星系をなしている星からガスが流れ込む場合です。白色矮星の質量が星を維持できる限界質量を超えたときに爆発を起こすと考えられています。
2つめは、連星系の2つの白色矮星が合体した場合です。合体した時の質量が限界質量を上回ると、1つ目のシナリオと同じように爆発を起こします。
なお、どちらのシナリオでも、爆発せずにつぶれて別の種類の星になる場合もあると考えられています。
超新星ごとの明るさや減光の違いはあまりなく、爆発後約20日で最大の明るさに到達して、絶対等級で-19等程度になるといわれます。
また、この絶対等級がほぼ一定である性質を利用して、遠くの銀河までの距離の推定などにも利用されています。
・単独星型 (Ⅱ型、Ⅰb型、Ⅰc型)
単独星型の超新星は、大質量の星 (太陽の8倍以上の質量をもつ恒星)が、進化の過程でその一生の最後に起こす爆発です。
爆発は星の重力崩壊に起因するものと考えられていますが、そのメカニズムは十分には解明されていません。
最大の明るさは絶対等級で-17等程度ですが、明るさや減光の様子は天体によって異なります。
超新星では1054年におうし座で見られた「かに星雲」が有名です。
銀河系内の比較的地球に近い星が起こしたので、昼間でも見えるほど明るくなり、その記録が日本や中国に残っています。
また、1987年には大マゼラン雲に現れたものが話題になりました。超新星は、毎年複数個発見されていますが、ほとんどが我々の銀河系以外の銀河の中に存在するものなので、肉眼では見られない明るさのものが多いです。
※ Ⅰa型、Ⅱ型、Ⅰb型、Ⅰc型は分光観測による分類