仙台市天文台
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土星 今シーズンのベストショット

今シーズンのベストショット 080315


 15日夕食後、外に出てみました。南天にはシリウスが輝いています。その瞬きも少ないようですから「今夜は、きっと気流状態が良いだろう」と思いつつ、望遠鏡をコンピュータ制御へと変更作業を行いました。惑星観測だけならコンピュータ制御は必要ないのですが、西空にはちょっと明るめな3つの彗星(ホームズ周期彗星、チェン・ガオ彗星、ビルタネン周期彗星)があり、満月の前に記録写真を撮影しておこうとなりました。天頂近くには、半月を過ぎた月が煌々と輝いています。もちろん、その姿も撮影しました。3つの彗星撮影後、コンピュータ上で確認作業を行いましたが、残念ながらホームズ彗星だけは焦点距離が長すぎたので確認できませんでした。
 彗星撮影後、コンピュータ上で土星を選択。心地よいモーター音を発しながら土星めがけて動いていきます。低倍率で視野の中央に導入し、高倍率のアイピースで見てビックリ!多少のユレはありますがカッシニの空隙や表面模様も良く見えています。早速室内から画像取得用のコンピュータを出してきて土星観測開始。 画像取得しながらコンピュータによる画像処理と言う二刀流の作業を23時過ぎまで続けました。
 得られた画像は、今シーズンのベストショットです! 先ず、環を見てください。カッシニの空隙が見事に写っています。その外側がA環で、内部の濃さは一様でないことが分かりますね。 A環の中には、エンケの空隙が存在するのですが・・・写りませんでした。次にカッシニの空隙より内側がB環で内側に行くほど薄暗くなっている様子も分かります。探査機の画像では、この中に沢山の細い筋が見つかっています。そして、一番内側がC環です。淡く写っています。さらに内側にはD環が存在するのですが、大望遠鏡でないと確認はできません。次に本体を見てみましょう。一番目立っているのが南赤道縞です。多少赤っぽく見えています。それから南極にかけて淡い縞模様が存在しているのですが、その様子を確認するためには、もっと気流状態が良くないとダメです。明るく見えているのは赤道帯です。環より下側が北半球で、うっすらと北赤道縞を確認できます。北半球が全体的に薄暗くなっているのも今シーズンの特長です。

 ところで、今月18日を持ちまして現天文台でのホームページアップ作業を終了します。ちょっとの間お休みをして、新天文台からの観測情報をお送りすることになるでしょう。

解説 : 小石川

     
 

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