台長からの2011年のご挨拶
「2011年 宇宙をはかる」
宇宙は私たちにとって遠い存在に思われるかもしれませんが、実は私たちの生活や文化と密接なつながりがあります。宇宙は、意外に身近にあるのです。仙台市天文台では、「宇宙を身近に」を合言葉に、市民の皆様に宇宙を身近に感じていただけるような活動をしたいと考えています。宇宙が身近になる活動はいろいろあると思いますが、私は「宇宙の理解が深まって、宇宙が身近になる」ことをめざしています。
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仙台市天文台では、毎年テーマを決めて、テーマに沿った活動を行っています。今年、2011年のテーマは「宇宙をはかる」です。
星や宇宙、天文学は古くから私たちの生活や文化に広く深く浸透してきましたが、宇宙をはかることが重要でした。たとえば、星や月や太陽の位置をはかって時や暦が定められました。身近なところでは、私たちが日常使っている長さの単位(1メートルの長さ)は地球の大きさをはかって決められたものです。
現代の天文学は、宇宙の理解を深めるために宇宙をはかります。天体観測は文字通り天体を精密に観察し測定することです。星(恒星)は大きな望遠鏡でも小さな光の点にしか見えません。星の本当の姿、その正体を知りたい、現代の天文学はそのような疑問から始まりました。そして、星の距離や明るさをはかり、星が非常に遠方の巨大な高温のガス球、「遠方の太陽」であることを発見しました。さらに、星や銀河の距離を測ることによって銀河系や宇宙の構造が明らかになり、あるいは、星の年齢をはかることにより宇宙の歴史が解き明かされるなど、宇宙をはかることによって天文学が進歩しました。宇宙は、はかることによって本当の姿が見えてきます。
どのように宇宙をはかり、どのように宇宙が解明されるか、皆さんと一緒に宇宙を探求したいと思います。神秘な宇宙から理解できる宇宙へ、本当の宇宙の姿を見つけてください。天文台のスタッフとも互いに理解を深めあって身近に感じていただければ幸いです。
仙台市天文台台長