仙台市天文台について

台長からの2010年のご挨拶

「2010年・仙台市天文台で宇宙の旅を」

 2010年というと、アーサー・C・クラークが1982年に発表した木星に旅するサイエンスフィクション『2010年宇宙の旅』が思い起こされます。 映画化され、日本でも公開されました。映画を見たとき、2010年は遠い未来のことのように思われましたが、今年がその年になりました。木星への宇宙旅行はまだ実現していませんが、無人探査機が太陽系内を詳しく探査し、探査機がもたらす天体の映像によって宇宙の旅を疑似体験できるようになりました。

 今日の宇宙の研究・天文学の発展は太陽系をはるかに超えた宇宙の果て、さらに宇宙の始まりに迫ろうとしています。もし、天文学に興味を持ち、思考力と想像力と少しの忍耐力を発揮すれば、宇宙の果てから宇宙の始まりまで、時空を超える宇宙大旅行を経験することができます。仙台市天文台を想像の宇宙船と考えて宇宙の旅を楽しんでいただきたいと思います。広大な宇宙の広がりや宇宙の歴史に触れ、私たちの存在が宇宙と密接につながっていることを発見し、宇宙を身近に感じていただけたら幸いです。


 もう一つの2010年は「国民読書年」です。平成20年の国会で、この年を「国民読書年」とすることが決議されました。文字・活字は、人類が生み出した文明の根源をなす資産であり、これを大切にし、本を読もうという趣旨です。


 私たちが直接目にできる宇宙は、宇宙のほんの一部に過ぎません。天文学の研究成果は文字・活字によって記録され、後世に伝えられます。また、天文学の周辺にある様々な文化・芸術なども本の中に見つけることができます。この機会に、お気に入りの本を手に仙台市天文台においでいただくと、宇宙を旅する良きガイドブックになると思います。

 

 昨年2009年は「世界天文年」、ガリレオの最初の天体観測から400年を記念するものでしたが、世界天文年を決議した国際連合の決議文にはその趣旨がおよそ次のように述べられています。


 天文学は最も古い学問として人間の文化や生活に広く深く浸透しています。そのような大切な学問ですが、天文学を学ぶ機会は限られています。そこで、天体や宇宙に親しみ、天文学を学ぶ機会を積極的に持ちましょう。


 このような世界天文年の趣旨ですが、これは仙台市天文台が目指しているもので、仙台市天文台はいつも世界天文年です。今後も皆様に宇宙を身近に感じていただけるような活動を続けてまいります。折に触れて仙台市天文台にご来館いただき、宇宙の旅を楽しみ、宇宙の理解を深めていただければ幸いです。

 

  仙台市天文台台長
土佐誠 サイン

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