
7月1日からプラネタリウム・シアタープログラムで投映が始まった新番組「セブンワンダーズ~世界の七不思議~」。ナレーションと脚本を担当されているのが落語家、六代目春風亭柳朝さんです。謎に満ちた古代の神秘的な世界を、軽快な落語調で語るというミスマッチが、番組の面白さをより引き立てています。今回は6月21日に開催されたイベント「星空落語」のために来台し、プラネタリウムで落語を披露してくださった柳朝さんに、イベントの感想と番組について話を伺いました。
―お疲れ様でした。プラネタリウムでの「落語会」はいかがでしたか?

「とても充実した時間でした。以前町田にあったスターホールというプラネタリウムでも3回ほど落語会をしたことがあったんですけど、やっぱりいつもの寄席とは雰囲気が違います。ただ、町田の椅子はリクライニングがすごく倒れるタイプのものだったので、お客さんがみな寝てしまった状態で聞いてるんですよ(笑)。だから若干やりにくかったんですけど、仙台はそんなことなかったですね」。
▶イベント当日は手話通訳もつきました
―仙台は何度かいらしたことがあるそうですが、ここの天文台は初めてですよね?

「はい。ドームの大きさが町田(スターホール)の倍くらいあってびっくりしました。しかもプラネタリウムの機械が見当たらないので、“ないね”って言ったら巨大なチュッパチャップスみたいなのが突然センターから出て来てまたまたびっくりしました(笑)」。
◀この投映機のことです
―さて、今回は「セブンワンダーズ」の日本語版脚本にもたずさわったとのことですが、いつもの落語のお仕事とはだいぶ勝手が違う作業だったのではないでしょうか。
「原稿は、“あーでもないこーでもない”って試行錯誤して何度も書き直しました。実は“世界の七不思議”そのものを知らなかったので、世界史の勉強から入ったんです。“ピラミッド”は知ってるけど“ファロス”ってなんだ??、とかね。だから、私自身も良い意味で勉強になりましたよ」。
―そうとう時間がかかりましたか?

「はじめて(ディレクターの)Kさんとお会いしてから、最終的に完成するまで半年くらいはかかりましたね。こういう、映像がメインの番組に言葉を入れるのって本当に難しくて、解説なんだけど喋りすぎてもいけないっていう…。だから最初の原稿からかなり削って削って、最終的には全く違うものになりました」。
「そもそも落語っていうのはやり直しがない、流れを止めちゃいけないものなので、もし途中でつっかかってもそのまま一気に“落ち”までいくんです。でも録音は秒単位で“もう一度そこから”って何度も取りなおし作業があって、テンションをずっと保つのが大変でしたね。小室さんの音楽はこうやって作られるのか(笑)って、驚きました」。
―もともと柳朝さんご自身、天文に興味はあったのですか?
「夜には必ず星を見あげてるような子供でしたね。小さい頃名古屋に住んでいて、小学校2年生くらいだったかな? 白川公園にある名古屋市科学館に一人で地下鉄に乗って行ったり。そのときにプラネタリウムで聞いた解説員の方の声がとても良くて、今でもすごく印象に残ってます。ボーイスカウトもやっていたので、キャンプなんかで山にいくと、怖いくらいの星の数に圧倒されたのを覚えてます」。

「親子連れの方が結構いらしたようで、とても嬉しかったですね。やはりこういう番組を通して、少しでもお星様や天文のことに興味を持ってくれれば良いと思います」。
―落語に興味のある方が天文に興味を持ったり、逆に天文好きの方が落語に興味を持ってその道に進もうと思ったり、そういう交流があると良いですよね。
「そうですね~…でもあんまりこっち(落語)の世界に来られると困るので(笑)そこは天文だけに留めておいてもらったほうがありがたいですね(笑)」。
◀昔のプラネタリウム投映機の前で…
―では最後に、これから「セブンワンダーズ」をご覧になる方にメッセージをお願いします。
「“なぜだろう”、“不思議だな”っていう、そういう疑問から全てのものは始まると思うんですよね。なのでこの番組が少しでもそういう気持ちや始まりのきっかけになれば嬉しいです。とくに小さなお子さん達や若い方に観てもらいたいですね」。