「六分儀(ろくぶんぎ)」をいただきました!

このたび、タマヤ計測システム株式会社の葛西社長が天文台に「六分儀」を寄贈してくださいました。

4月より展示室「天文学の歴史エリア」にて、この貴重な「六分儀」を展示しています。

「六分儀」とは天文学と航海術によって18世紀に発明され、船の上で天体の高度を求め、船の位置を知るために用いられるものです。昔から航海には欠かせない道具で、20世紀の半ば頃までは、外洋航海の船には必ず備え付けられていました。最近ではGPSにその役目を譲っていますが、トラブルの際を想定して、大型船舶には今も必ず搭載されています。

rokubun.jpg葛西社長が天文台にいらして、こんなことをおっしゃいました。

 「デジタル化の時代、GPSに主役の座を譲ったけれど、機械は故障するもの。いざという時には、人間の眼とアナログな機器が威力を発揮する。そういう意味で六分儀の存在意義は大きいと思っています。高い精度の六分儀をつくる技術は、つくり続けていないと継承できませんので、使命感を感じます」。


▲六分儀を受け取る土佐台長(左)と葛西社長

社長の熱い意気込みに触れ、神聖なる気持で、ありがたく「六分儀」を頂戴しました。

そもそもタマヤ計測システム株式会社(=かつて玉屋商店)と天文学の繋がりは、眼鏡店を営んでいた玉屋商店が望遠鏡も扱っており、幕府天文方との縁を強め、計測器販売へとその領域を広めていったことがはじまりだそうです。幕末になると、眼鏡よりも徐々に計測器商売の比重が高くなっていき、イギリス製の六分儀輸入を開始したと伝えられています。その後第一次世界大戦勃発により輸入が途絶えることへの懸念から国産化への拍車がかかり、大正11年に国産化および商品化に成功しました。

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その見事な技術は平成の現在まで受け継がれ、社長のおっしゃる通り、これからも高度な技術とともに後世に継承され続けていくことでしょう。

さあ、皆様もぜひその眼で、本物の「六分儀」を見てみませんか。

 

「六分儀」のしくみってどうなっているの?どうして天体の高度と船の位置がわかるの?そんな疑問への答えも、展示の中で説明していますよ。              
                            ▲これが本物の六分儀の一部です!!