「絵を描く人間なら、誰でも一度はすごく大きな絵を描いてみたい、という願望を抱くと思うのですが、僕もそのような理由で描きはじめたのがきっかけです。そのときは今作の4分の1にも満たない大きさだったんですけど、一度描いたらさらに大きいものを、という気持ちがおさまらず、毎年どんどん大きくなって、前作と今作(10作目)が最大の大きさになりました。」

「会場さえあれば全然問題なく可能です。ただ、正直、飾る会場がないんですよね。水彩絵の具は水で溶けるので屋外展示は絶対ありえない。なので、屋内で、高さがあって、幅があるところであれば、作ることはできます。」
-なぜ水彩画を選ばれたんですか?
「子供のころはずっと油絵を描いていて、大学も油絵科に所属していました。4年生で卒業制作を作る時に、急に“自分が今まで通り普通に油絵の作品を描いて卒業してしまっていいんだろうか”という疑問が生じてきて、なかなか着手できなかったんです。そんな時に一度原点に戻って、最初に絵を描くことに興味をもった小学生の時に使っていた水彩絵の具を買ってきて描いてみたところ、これがすごく自分にしっくりきて、“あ、これかもしれない!”と思い立って、卒業制作だけ水彩を描いたんです。そのときはさすがに大学の教授に怒られましたね。“今までやってきたこと、教えてきた4年間は一体なんだったんだ?”って(笑)。でも、その後僕は水彩しか描いてないので、間違いではなかったな、と今では思ってます。水彩絵の具とい

-今作は完成するまでどれくらい時間がかかったんですか?
「最初に絵の具をつけたのは8月くらいだったので約4カ月です。その前に、紙を貼るパネルを手作業で作るのに2カ月かかりました。今回の作品は24枚のパネルが組み合わされてひとつの作品になっています。隣り合うパネル同士がきれいにつながらないといけないので、そこにはミリ単位で気をつかいました。なので大工仕事をしながら、イメージを考えて、という感じです。」
-孤独な作業ですね。
「孤独に耐えられなかったら絵描きにはなれないってよく言いますけど、アトリエにずっと居続けられないと絵は描けないですね。」
-そうとう広いアトリエかと想像しますが…。

-星座にはもともと色はないものですが、このような色で描かれたのには何かこだわりや理由があったのでしょうか?
「今回、いつも絵の具を買っていたお店が閉店することになって、3つのメーカーの絵の具を全て買い取ることになったんです。それで、僕はもともとパレットにある絵の具を全部使う方なので、絵の具の種類としては200くらいの別の色すべてを使ってみよう!と思い、このような絵になりました。色が感情を表現する、ということもあるので、これまで買ったことのない、使ったことのない、例えばパッションオレンジなどを使うことで、自分の中で色々広がった部分はありますね。」
-では最後に、美術にはどんな力があると思いますか?

直接加川さんから制作秘話を聞いたり質問したい方は、1月6日(火)開催のギャラリートークへお越しください。穏やかでいながら、その内に秘めた情熱を、絵から、そして加川さんご本人からも感じ取っていただけるはずです。ぜひ“生の芸術”に触れて、その迫力に圧倒されてください。
展示は1月10日(土)まで。加川さんのウェブサイトはこちら→http://www.kagawahiroshige.com/
