国際天文学・天体物理学オリンピック 銀メダル獲得 長谷川 寿一 様 インタビュー

8月17日(土)- 27日(火)の日程でブラジル・リオデジャネイロ州のヴァソウラスにて開催された、「第17回 国際天文学・天体物理学オリンピック※(IOAA2024:International Olympiad on Astronomy and Astrophysics 2024)」にて、日本代表選手が全員入賞しました(銀メダル:1名、銅メダル1名、優秀賞:1名)。
今回、8月上旬に仙台市天文台で研修を行い、見事銀メダルを獲得された長谷川寿一様にインタビューを行いました!

※国際天文学・天体物理学オリンピック ( IOAAInternational Olympiad on Astronomy and Astrophysics ) は、国際科学オリンピックの一つで、中等教育を修了していない生徒を対象に2007年から開催されている大会です。
天文学と関連する STEM 科目(理科、技術、工学、数学)への関心向上や、天文学・天体物理学の学校教育の促進、国際交流の強化を主な目的としています。



1.国際天文学・天体物理学オリンピックにて銀メダル獲得おめでとうございます!獲得されたときの率直なお気持ちはいかがでしたか?

― 試験終了時はメダルを取れているとは思っていなかったので、発表されてとても驚きました。嬉しかったです。

 

2.そもそも「国際天文学・天体物理学オリンピック」とはどのような大会ですか?

― 国際天文学・天体物理学オリンピック(IOAA)は世界中の高校生以下を対象に毎年開催される、天文学の計算や技能、知識で競う大会です。日本からも代表が派遣されており、今年は8月にブラジルで開催されました。

 

3.国際天文学・天体物理学オリンピックではどのような種目で競うのですか?

― 理論ラウンド、データ解析ラウンド、観測ラウンド、プラネタリウムラウンドの4つのラウンドで競いました。理論ラウンドやデータ解析ラウンドは天文学の理論や物理を用いて計算を行う数時間に及ぶペーパーテストです。観測ラウンドでは望遠鏡を用いて、プラネタリウムラウンドでは現地のプラネタリウムを用いて、それぞれ天体や星座に関する知識や計算を問われます。

 

4.国際天文学・天体物理学オリンピック日本代表に決定するまでの例年のスケジュールを教えてください。

― 毎年冬から春に開催される日本天文学オリンピック(JAO)がIOAA日本代表の選抜を兼ねています。JAOは予選がオンラインで、本選は対面で開催され、それから代表候補者向けの研修を経て代表が決まります。2025年の予選は112日(日)に開催される予定です。

 

5.日本天文学オリンピックに挑戦した理由を教えてください。

― もともと宇宙や物理に興味があり、学校の先輩に教えてもらって大会の存在を知りました。全国で競ってみたいと思い挑戦しました。

 

6.日本天文学オリンピック予選・本選に向けてそれぞれどのような対策を行いましたか?

― 予選前は書籍で基礎的な天文学の知識を確認したり高校物理を復習したりしました。本選には予選での反省を生かして望遠鏡や星座に関する知識を補充して挑みました。本選は計算問題が多い印象だったので計算練習も積みました。

 

7.日本代表として国際天文学・天体物理学オリンピックへの出場が決まったとき、どんな気持ちでしたか?

― 国際大会への参加は大きな目標の一つだったので達成できた喜びも大きかったです。国際大会で世界中の高校生と会って、競うことができるのが楽しみでした。

 

8.代表候補に選ばれてから出発までの期間、どのような対策を行いましたか?

4月に平塚市博物館での代表候補者向け研修に参加した後は、IOAAの理論ラウンドやデータ解析ラウンドの過去問をひたすら解いて日本の委員会のスタッフの方々に添削してもらっていました。国内本選までは使っていなかった天文学の計算メインの演習書なども活用しました。実技対策としては印刷した星図を眺めて星空の知識を入れていましたが、不安が残ったので夏休み中に仙台市天文台で研修を行っていただきました。

 

9.今回仙台市天文台での研修をご希望されましたが、希望した理由等はありましたか?

IOAAでは観測ラウンドやプラネタリウムラウンドなど星空や星座の知識を問う問題もあるのですが、私はあまり得意ではありませんでした。さらに今年の開催地はブラジルということもあり日本とは全く異なる星空の出題が予想されたので、仙台市天文台のプラネタリウムで教えていただきたいと思いお願いしました。

 

10.仙台市天文台ではどのような研修を行いましたか?

― 実際に仙台市天文台の職員さんにプラネタリウムを操作していただいて、一対一で気になる天体や星座の位置や見つけ方などを確認させていただきました。プラネタリウムでは天気や季節、その場所の経緯などの条件に関係なく星空を見ることができるので、日本からは見ることのできない南天を含めて全ての領域を見せてもらいました。

 

11.天文台で行った研修の中で、国際大会本番に向けて力になったものはありましたか?

― やはり本番前にブラジルの星空を体験できていたことは大きかったです。加えて、うみへび座などのあまりメジャーでない星座の辿り方なども教えていただいていたので、本番ではもともと得意ではなかった観測ラウンドやプラネタリウムラウンドを得点源にすることができました。

 

12.今後はどのような進路に進む予定ですか?

― 大学では天文学や物理学を学んで自分の興味を深めたいと思っています。研究の道に挑戦したいと考えています。

 

13.最後に、天文学オリンピックに興味を持った中学・高校生へメッセージをお願いします!

― 天文学オリンピックとの出会いがきっかけで日本中や世界中に仲間ができ、天文学がもっと好きになりました。あのときJAOへの参加を決めて本当によかったと思っています。皆さんにもまずは今年の予選に挑戦してみてほしいです。

 

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提供:日本天文学オリンピック委員会

▲国際天文学・天体物理学オリンピックにて銀メダルを獲得された長谷川寿一 様

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第4回日本天文学オリンピックの開催が決定し、参加申し込みの受付が開始しました!

詳細は下記サイトをご覧ください。

■第4回日本天文学オリンピック 開催情報 → https://iaojapan.org/application/

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