2024年2月18日(日)に、サイエンス講座を開催しました。
サイエンス講座は、東北大学大学院理学研究科とコラボレーションして年数回実施しています。
今回は2023年度第3回目のイベントとして、東北大学大学院理学研究科数学専攻の本多正平教授を講師にお招きし、『地球って本当に丸いんですかね~解けると1億円もらえる算数の問題』というタイトルで、小学4年生から6年生の児童を対象とした講座を開催しました。
同じ内容で午前と午後の2回講座を行い、計52名の児童とそのご家族にご参加いただきました。
「私たちが住んでいる惑星の名前は?」という先生の問いかけから講座スタートです。子供たちは元気よく「地球!」と答えます。
「地球の形は?」「丸い!」。ここまでは順調です。
「地球が丸い説はどうやって確かめる?」少し難しい質問になりますが、それぞれ自分の意見を、手を挙げて発言します。
「宇宙に行く」「ひもを持って歩く」「海で世界に行く」など様々な意見が出ます。
次に、某ロールプレイングゲームの世界の形について、「①丸い ②平ら ③ドーナツ ④土星 ⑤その他」のうち、どんな形なのか考えます。
ゲームをプレイしたことのある参加者も多く、実際の動きを思い出します。
左にひたすら進んでいくと...右から現れる。上にひたすら行くと...下から現れる。
手元にある新聞紙を使って重なるところを合わせていくと...
なんと、ドーナツの形になりました!
正解者は少なく、驚きの声が上がっていました。
次に、「宇宙に行かずに地球が丸いことをどうやって確かめる?」
この質問にも、子どもたちはそれぞれ自分の考えを発言します。
数人の考えを聞いたところで、先生の手書きのイラストとともに解説が入ります。
「紐をもって世界を一周し、紐を回収する。紐を全て回収することができれば丸いという証明ができる。もしドーナツ型だったら、ひっかかって回収することができない!」
そして、いよいよここでタイトルにもある『1億円もらえる問題』が登場します。
アメリカのクレイ数学研究所によって2000年に発表された、1億円の懸賞金がかけられている7つの問題の1つ
「ひもが必ず回収できる世界(惑星)は丸い!」
これを解いたグリゴリー・ペレルマンの話が出ました。
ペレルマンは賞金の受け取りを辞退したとのことですが、参加しているみなさんはもし1億円をもらえたらどうするのでしょう?
先生が聞いて回ると、「世界旅行に行く」「おいしいものを食べる」「寄付する」「投資で増やす」などなど、様々な意見が出ました。
「ペレルマンが解いた詳しい内容を知りたい人は、元論文を読んでみましょう。」
大学の先生らしいアドバイスも出たところで、話は地球に戻ります。
地球の大きさが一周40,000kmと、具体的な数字が出てきました。
ここで実験コーナーです。
それぞれ手元の新聞紙を折り始めます。
力づくで折り進める人、丁寧に折りたたんでいく人...みなさん一生懸命折っていました。
多く折れた人は7、8回!
ここで先生からの最終問題が出されます。
『新聞紙を100回折ると高さはどれくらいでしょう?』
①1 cmくらい ②5 cmくらい ③1 mくらい ④AERくらい ⑤富士山くらい ⑥地球一周くらい ⑦もっとでかい
ここで計算がはじまります。
2×2=? A.4
2×2×2=? A.8
2×2×2×2=? A.16
...
2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=? A.1024
では、それを10回かけると...?
みなさん一生懸命計算しますが、大きな数字におどろきの声が。
答えは1の後に0が30個。これは、1穣(じょう)もしくは1クエタという単位になるそうです。
広げた時の新聞紙の厚さは0.06mm程度なので、これを100回折るとどうなるかと言うと...
0.06mm
↓ 一回折る
0.06 × 2 mm
↓ もう一回折る
0.06 × 2 × 2 mm
︙
↓ 100回折ると
60000000000000000000000 km !! とてつもない数字です。
「これは、宇宙の大きさを超えてしまいます。」と天文台スタッフがコメントしたところで、講座終了です。
参加したみなさんからは、
「身近な話題から、数学や科学に興味がわいてくるテーマでとても面白かったです。」「天文と数学は大きくかかわっているんだなぁと思いました。」
「わかりやすく説明してくれていてすごくわかりやすかったです。」
「地球は本当に丸いのが分かってよかったです。」などの感想をいただきました。
たくさんのご来場、ありがとうございました!