「ブラックホールの日」イベントレポート

 2022年6月4日(土)は「ブラックホールの日」と題して、ブラックホールを楽しんでいただける様々なイベントを開催いたしました。

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 ブラックホールといえば、2019年4月10日に巨大ブラックホールの影の撮影に成功して話題となりました。また2022年5月12日には天の川銀河の中心にあるブラックホールの画像も公開され、記憶に新しい方も多いことでしょう。

 ここでは、展示室やプラネタリウム、講演会、トワイライトサロン、天体観望会などでブラックホールをご紹介した「ブラックホール日」の様子を、1日の流れに沿ってレポートいたします。 

 

【展示室】

 9時から開館している仙台市天文台の展示室には、説明パネルや体験型の展示などブラックホールに関する展示がいくつかあります。今回は常設展示に加え、先日発表された天の川銀河の中心にあるブラックホールの画像についてスタッフが作成した紹介ポスターを掲示しました。このポスターはしばらくの間展示室でご覧いただけます。

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【プラネタリウム①】

 11時30分からは、プラネタリウム『こどもの時間』で「プラネくんとあそぼう!~おいしそうなブラックホール~」の投映です。仙台市天文台のプラネタリウムにいるプラネくん。今回はおいしそうなものを探しに宇宙に出かけます。プラネくんにはブラックホールが何に見えるのでしょう?

 本番組には国立天文台水沢VLBI観測所所長の本間希樹先生も登場し、ブラックホールについて教えてくれています。この番組は2022年6月26日(日)まで投映していますので、プラネくんの大冒険をお楽しみください。

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【講演会】

 14時30分からは「仙台市天文台×国立天文台 ブラックホール特別講演会」を開催しました。ご好評につき、定員よりも多い144名のみなさまにご参加いただきました(※感染症対策ガイドラインに則って開催)。今回は国立天文台との連携事業として開催し、ブラックホールの直接撮像を目指すプロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」のメンバーでもある国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹先生と、秦和弘先生を講師にお招きしてお話を伺いました。

 まずは本間先生に、「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」というタイトルで、ブラックホールとは何か、またブラックホールの観測プロジェクトについてお話いただきました。

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▲EHTプロジェクト日本チームのリーダーでもある本間先生。終始にこやかにお話される様子が印象的でした。

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▲国立天文台水沢VLBI観測所と水沢菓子組合とが共同で「ブラックホール」をテーマとしたお菓子をつくったことから「ブラックホールの可視化だけでなく菓子化にも成功した!」というようなユーモアあふれるお話も。

 

 続いては秦先生に、「ブラックホール研究のこれから」というタイトルで、観測成果や今後のブラックホール研究についてお話しいただきました。

image_6.png▲秦先生の熱意がこもった講話にご参加いただいた皆さんは引き込まれていました。

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▲大学院では水沢VLBI観測所に所属し、ブラックホールジェットの研究に関わっていた仙台市天文台スタッフCの話題も取り上げていただきました。

 

 

 最後は質問タイム。小さいお子さんから大人の方まで幅広い世代の方々がたくさん質問してくださいました。ご参加いただいた方々は熱心にメモを取ったり時々頷きながら耳を傾けていたりする様子が見られ、ブラックホールへの関心の高さが窺えました。講演中だけでなく講演後やアンケート用紙にもたくさんのご質問をお寄せいただきました。

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 ご講演いただいた本間先生と秦先生、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

 

【トワイライトサロン】

 17時からは土佐誠名誉台長によるトワイライトサロンです。毎週土曜日の夜にだけ開かれる、宇宙の様々な話題についてお話をするサロンです。毎週異なるテーマでお届けしていますが、今回は「ブラックホールスペシャル」ということで、講演会に引き続き本間先生と秦先生にもゲストでご参加いただき、ブラックホールについて語り合うひとときとなりました。

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 質問を受け付けると、小さなお子様から「ブラックホールで重力レンズ効果が起こりますか?」という質問が飛び出し、会場は驚きに包まれました。その他にも専門的な用語が飛び交ったり、ゲストのお二人もたじろぐような質問も出たりと参加された皆さんと一緒にじっくりとブラックホールについて考えることができる時間となりました。

 

【プラネタリウム②】

 ブラックホールの日はまだまだ続きます。

 18時からは、プラネタリウム『天文の時間』で「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」の投映です。トワイライトサロン終了後、そのままプラネタリウムへ移動される方も多くいらっしゃいました。

 本番組は、ブラックホールの直接撮影に成功するまでの研究者たちの挑戦を描いた物語です。本間先生が監修をされていて、本編にも登場して解説されています。

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▲プラネタリウムの入口には2022年7月16日(土)までの期間限定で、本間先生のサイン入りポスターが飾ってあります!

 

 

【天体観望会】

 ブラックホールの日、最後は天体観望会です。

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 毎週土曜日の19時半から開催している天体観望会の6月の主な観望天体は、M81・M82・M87と呼ばれる銀河たち。

 M87といえば...そう、世界で初めて撮影に成功したブラックホールがある銀河です。

 肉眼では見ることはできませんが、望遠鏡を使うと、5000万光年先にあるその淡い姿を見ることができます。

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          ▲ひとみ望遠鏡で見たM87。中心には超巨大ブラックホールが...

 

 講演会から観望会までずっと参加しているという方もいらっしゃいました。

 ちなみに、秦先生はM87を望遠鏡で覗いたことがないらしいです。

 M87が観望天体になっているのは6月だけです。皆様も是非、天体観望会へご参加ください!

 

  ブラックホールをまるっと楽しめる、「ブラックホールの日」はいかがでしたでしょうか?ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

 ご紹介したプラネタリウム番組「プラネくんとあそぼう~おいしそうなブラックホール~」は2022年6月26日(日)まで、「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」は2022年7月16日(土)まで観覧いただけます。ぜひ天文台に足をお運びいただき、皆様もブラックホールの世界に引き込まれてみてはいかがでしょう?