2017年10月14日(土)、第4回「観測のための天文学講座」を開催しました。
観測のための望遠鏡講座とは、高校程度の物理と数学の知識を用いて、ひとみ望遠鏡での観測に必要な天文学の基礎を学ぶ全5回の講座です。
受講終了後、興味のある天体について、観測プロポーザルを提出し選ばれると、ひとみ望遠鏡での観測ができるようになります。
2回目以降の講座では、ひとみ望遠鏡で観測できる天体について、天文台長がジャンルごとに解説しています。
これまで、「天体の放射」、「太陽系天体」とご紹介してきましたが、4回目となる今回は「恒星」についてのお話でした。
恒星の研究を知るために、はじめに星の基礎知識について説明がありました。
星は、進化過程によって、観測方法が異なります。
例えば、生成期の星は温度が低く、目では見えないため、電波や赤外を使って研究するそうです。一方、安定期から終末期の星については、目に見える光(可視光)を使って観測します。ひとみ望遠鏡の観測が最も活きてくるのは、この"可視光"の観測です。
では、観測とはどのようにして行うのでしょう。
星の状態を知るためには、「重さ(質量)」と「明るさ(光度)」、「温度」を調べる必要があります。
ひと言で「重さ」と言っても、測り方は天体のタイプによって違うため、それぞれのタイプごとの観測方法について紹介しました。
重さの観測方法が分かったところで、次は「明るさ」の調べ方です。
明るさを調べるためには、測光という手法を使います。観測した星の明るさと、その星までの距離から、その星の本来の明るさを求めることができます。
「温度」を調べるためには、分光という手法が使われます。光を分けたものをスペクトルといい、星のスペクトルを調べると、温度を調べることができるそうです。スペクトルを分類した表をもとに解説していきました。
最後は、HR図についての説明です。
恒星の観測について、わかったことをまとめたものをHR図といいます。
HR図がどのようにして生まれたのか、その歴史を振り返るとともに、HR図の見方を、実際に観測で使われた図を使って説明しました。
1時間半に及ぶ講座でしたが、みなさんとても集中して参加されていました。
講座の内容は、高校地学の知識がないと、ついていくのが大変かもしれません。
以下のような参考書を事前に読んで学習しておくと、より講座の内容が分かりますよ。
・『もういちど読む数研の高校地学』数研出版編集部 編 数研出版
・『新しい高校地学の教科書―現代人のための高校理科』(ブルーバックス)杵島 正洋、松本 直記、左巻 健男 講談社
今年度の講座は来月が最終回!
来年も開催予定ですので、ぜひご参加くださいませ。
(来年度も同じ内容にするかは検討中です。)
~おまけ~
スペクトル型が記されためずらしい星座早見盤を台長が見せてくださいました。
お盆のような形をしていますが、実際に星座を見つける時にも使える優れものです。
参加されたみなさんも興味津々でした。