2024年 台長メッセージ
仙台市天文台が、この錦ケ丘の地に移転して、はや17年目を迎えます。
現在の仙台市天文台は、仙台市が策定した「新仙台市天文台整備・運営事業」に基づいて、PFI(Private Finance Initiative:民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進)方式により維持管理・運営が行われています。本事業は、2001年8月に基本構想が出され、その後1年毎に、基本計画、大型望遠鏡の仕様等に関する報告、入札書類審査と落札者決定基準と計画が積み立てられ、2005年に、私共㈱仙台天文サービスが事業者に選定されるという経緯をたどっております。 その後、入札書類に基づき、2006年から2年間の設計・建築が行われ、現在の天文台が出来上がりました。そして、公の施設としては30年という異例の長期間での契約に基づき、2008年より維持管理・運営が行われるという事業が展開されてきているのです。すでに、その半分の15年が過ぎ、今年は折り返した2年目ということになるわけです。よって仙台市天文台は、人間に例えると、元服や裳着を済ませた年齢になったのだと考えております。これまでの黎明期・成長期を経て、成熟期に入っていく時期になったのだといえます。
成熟期に入っていくにあたり、天文台における活動が社会にどのようにどのくらいの影響を与えることができるのかを全職員で考えることとしました。その際には、「宇宙を身近に」というミッションに焦点化した振り返りを行いました。結果、「宇宙が身近な社会」つまり「市民の天文学リテラシーが向上すること」が、多くの方々の人生や生活を豊かにするであろうという仮説が立ちました。その仮説を検証するため、「宇宙が身近な社会」を目指した3年間の中期計画を立てました。今年は、その2年目の年となります。
具体的には、これまで行ってきた活動を通しながら、その結果として、多くの方々に下にあげるような変容が見られるかを見取っていきたいと思っております。
皆様の心や行動に、そのような変容があるかを、ぜひアンケートの自由記述欄にてお知らせいただけると幸いです。
▶アンケートはこちら
「日常と宇宙とのつながりを発見」「体験的な活動で学びの意欲が向上」
「学校教育における天文分野の学習内容の習得」「科学的な思考力・表現力の向上」
「諸活動を通しての天文学の知識の習得」「研究しやすい環境が整っている」
「豊かに生きる社会づくりへの意識の向上」「科学者や天文学者を志す」
天文台のあゆみ
西暦(年) | 和暦(年) | できごと |
---|---|---|
1954 | 昭和29 | 天文台建設発起人会,建設委員会結成,建設募金運動展開 天文台建設着工(施工:橋本店) 41cm反射望遠鏡(西村製作所製)組立 |
1955 | 昭和30 | 開台(2月1日),観覧業務開始 寄付金及び募金総額238万円 「仙台天文台」として建設委員会が運営にあたる |
1956 | 昭和31 | 建設委員会から仙台市に寄付,採納 初代台長に加藤愛雄就任 仙台市天文台として観覧業務を開始(文化観光課所管) |
1957 | 昭和32 | 移動天文教室実施 |
1960 | 昭和35 | 仙台市文化観光課から教育委員会指導室所管となる 学校教育活動として,中学校の天文台実習開始 |
1963 | 昭和38 | 企画展「江戸時代仙台藩の天文数学展」開催 |
1964 | 昭和39 | 展示室新設 |
1968 | 昭和43 | 展示室竣工 東北初のプラネタリウム館開館プラネタリウム館開館(プラネタリウムは前年河北新報社より寄付) 企画展「望遠鏡展」開催 |
1969 | 昭和44 | プラネタリウム幼児向け投映開始 |
1970 | 昭和45 | 天文台所蔵の渾天儀,象限儀,天球儀が市指定有形文化財となる 第二代台長に小坂由須人就任 |
1971 | 昭和46 | 講義室,資料室,作業室竣工 |
1973 | 昭和48 | 41cm反射望遠鏡の主鏡と凸面鏡を更新(木辺鏡) 41cmに同架されていた10cm屈折望遠鏡を15cm屈折望遠鏡に更新 |
1974 | 昭和49 | プラネタリウム館内及び本体機器(五藤光学研究所製)に更新 |
1975 | 昭和50 | 移動天文教室用自動車更新 事務室増築 |
1976 | 昭和51 | 天文台ドーム,床取替え工事竣工 |
1978 | 昭和53 | 宮城県沖地震により41cm反射望遠鏡使用不能となり解体 |
1979 | 昭和54 | 41cm反射望遠鏡(三鷹光器製)完成 |
1980 | 昭和55 | プラネタリウム館,展示室増改築完成竣工 企画展「望遠鏡展」開催 |
1981 | 昭和56 | 22点の展示品設置 |
1982 | 昭和57 | 太陽面爆発観測装置(五藤光学研究所製)完成 |
1983 | 昭和58 | 移動天文教室用望遠鏡を三鷹光器製GN22型に更新 |
1985 | 昭和60 | 開台30周年記念誌「30年のあゆみ」発行 |
1986 | 昭和61 | 新型プラネタリウム導入(五藤光学研究所製),観覧席更新 |
1991 | 平成3 | 第三代台長に岡崎三夫就任 |
1993 | 平成5 | 移動天文車ベガ号導入 |
1998 | 平成10 | 第四代台長に渡辺章就任 |
1999 | 平成11 | 仙台市教育局内に「天文台のあり方に関する検討会」発足 同上プロジェクトチーム発足 |
2001 | 平成13 | 新仙台市天文台整備基本構想策定 入館者300万人達成 |
2002 | 平成14 | 新仙台市天文台整備基本計画策定 |
2003 | 平成15 | 新仙台市天文台整備事業PFI手法導入可能性調査報告 第五代台長に蓮池芳明就任 |
2004 | 平成16 | 新仙台市天文台整備・運営事業にPFI導入決定(BOT方式) 新仙台市天文台整備・運営事業入札 |
2005 | 平成17 | 開台50周年記念式典・講演会を国際センターにて開催 新仙台市天文台整備・運営事業落札者決定 事業者間協定・株主間協定締結 株式会社仙台天文サービス(SPC)設立 事業契約書(仮)締結 事業契約書 本契約へ移行 ・事業方式:BOT方式 ・事業期間:平成17年6月-平成50年3月 ・事業範囲:設計および建築設備,特殊機材,什器・備品等保有,事業期間終了時までの施設の維持管理および運営業務 |
2006 | 平成18 | プロジェクト契約締結 新・天文台工事着手 |
2007 | 平成19 | 第六代台長に渡辺章就任 錦ケ丘に新・仙台市天文台竣工 西公園の仙台市天文台終了,こども宇宙館閉館 |
2008 | 平成20 | PFI方式による民間企業による維持管理開始 PFI方式による民間企業による運営開始 第七代台長に土佐誠就任 錦ケ丘にリニューアルオープン(7月1日) ファンサポーター制度運用開始 国立大学法人東北大学理学研究科と連携と協力に関する協定を結ぶ 特別展「□(スペース)のみた宇宙」開催 スタッフサポーター養成講座開始 「100万人のキャンドルナイト」初開催 「ソラリスト」創刊 |
2009 | 平成21 | 企画展「日時計の楽しみ」開催 スタッフサポーター活動開始 リニューアルオープンから入場者数50万人達成 企画展「宇宙の謎を解き明かす」開催 国立大学法人宮城教育大学と連携協力に関する協定を結ぶ ブレインサポーター制度運用開始 企画展「仙台芸術遊泳 平野治朗の『137億光年の旅』」開催 |
2010 | 平成22 | 2010年のテーマを「2010年宇宙の旅」に設定 第1回「天文台まつり」開催 「スペシャルプラネタリウム」開始 オーナーサポーター制度運用開始 企画展「ダンボールプラネット(平面から立体へ)」開催 巡回企画展「はるかなる宇宙の旅」開催 リニューアルオープンから入場者数延べ100万人達成 |
2011 | 平成23 | 2011年のテーマを「はかる」に設定 大型望遠鏡の愛称が「ひとみ」に決定 東日本大震災のため,12日以降臨時休館(-2011年4月15日) 仙台市生涯学習課天文台係による運営業務(学校教育支援業務)に関する暫定措置終了 企画展「はかる」開催 |
2012 | 平成24 | 2012年のテーマを「たべる」に設定 企画展「たべる」開催 天文台所蔵の渾天儀,象限儀,天球儀が国指定重要文化財となる リニューアルオープンから入場者数延べ150万人達成 |
2013 | 平成25 | 2013年のテーマを「うつす」に設定 仙台市生涯学習課天文台係による運営業務に関する暫定措置終了 仙台天文同好会と連携協力に関する覚書を交わす 天文ボランティアうちゅうせんと連携協力に関する覚書を交わす 企画展「うつす」開催 |
2014 | 平成26 | 2014年のテーマを「光」に設定 企画展「光の謎を解き明かせ!」開催 企画展「オーロラを体感しよう!」開催 リニューアルオープンから入場者数延べ200万人達成 |
2015 | 平成27 | 2015年のテーマを「起源」に設定 開台60周年 「仙台市天文台開台60周年 ミヤギテレビ開局45周年記念 宇宙兄弟展 仙台会場」開催 |
2016 | 平成28 | 2016年度のテーマを「宮沢賢治」に設定 |
2018 | 平成30 | 更新工事のため展示室の観覧休止(-2018年2月28日)
リニューアルオープンから入館者数延べ300万人達成 施設の大規模メンテナンスに伴う臨時休館(-2018年3月31日) 展示室リニューアルオープン |
2019 | 平成31 令和元 |
改修工事のためひとみ望遠鏡の運用休止(-2019年3月31日)
企画展「宇宙たんけんプラネット~だれもしらない惑星にいこう!~」開催 |
2020 | 令和2 | 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、展示室のみ開館(-2020年4月10日) 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、臨時休館(-2020年5月20日) 展示室再開(5月) プラネタリウム再開(6月) 天体観望会再開(7月) 名誉台長に土佐誠就任(7月) 第八代目台長に小野寺正己就任(7月) |
2021 | 令和3 | 仙台藩天文学器機が2020年度(第3回)日本天文遺産に認定(3月) 新型コロナウィルス感染症拡大防止のため臨時休館(2021年3月26日-2021年5月11日) ミュージアムカフェ(そらカフェ)オープン(5月) 新型コロナウィルス感染症拡大防止のため臨時休館(2021年8月30日-2021年9月12日) |
2022 | 令和4 | リニューアルオープンから年間パスポート1万人達成 企画展「宇宙をさわる」開催 リニューアルオープンから入館者数のべ400万人達成 |