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いざ、天文学の旬なスポットへ!【vol.1重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)】

 

 【特集】

2016年2月16日、神岡鉱山跡の施設見学にいってきました。

ここには、最近の天文学を賑わせているニュートリノや重力波の観測施設が大集合しています。

まさに最新の天文学のホットなスポットなのです!

 

今回見学したのは、KAGRA(かぐら)、カムランド、スーパーカミオカンデの3つの施設です。

仙台市天文台のブレインサポーターでもある

東北大学ニュートリノ研究所所長井上邦雄先生のご案内のもと、

今回台長とスタッフ数名で見学する機会をいただきました。

とても貴重な体験となりましたので、3回に分けてレポートをお届けします!

 

まずは、重力波発見のニュースで注目が集まる大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)へ。入口の「かぐらトンネル」という文字に気持ちが高まります。トンネル内は、エンジンに消化器がついた特別仕様のディーゼル車で走行します。地下の環境では、揮発性が高いガソリンは使用不可なのです。ふだんの生活とはちがう、細心の配慮がされていますね。

 

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▲KAGRAへ続くトンネル入口

 

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▲外靴からスリッパに履きかえる様子

 

施設内では、ホコリを持ち込まないようにスリッパに履きかえ、安全のためにヘルメットを着用します。このヘルメットは他の施設内で見学するあいだ中、ずっとかぶることになります。

施設内は建設現場感満載!といった感じで、装置や天井にビニールシートがかかっていました。

 

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▲作業のビニールシートが印象的

 

KAGRAは3kmの2本のパイプをL字型に組み合わせた形をしており、レーザー光の干渉を利用し重力波を観測する装置です。ひとつのレーザー光を2つに分け、遠くに置いた鏡で反射させ、戻ってきた光の到達時間の差で、重力波によるごく小さな空間の変化を検出します(詳しい説明はこちら ※国立天文台HPより)。レーザー光を2つに分けるための鏡が入る部分は清潔に保つためにビニールで覆われ、作業をする際は体のホコリを装置で吹き飛ばしてから入るそうです。中の鏡は見られませんでしたが、腕となるパイプをつなぐための丸い部分が確認できます。その他にも、実際には、信号を増幅させるためなどにもっと沢山の鏡が使われていることが分かりました。

 

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▲レーザー光を2つに分けるための鏡が入る部分。腕となるパイプをつなぐための丸い部分が確認できる

 

kagura01_06.jpg ←使用する鏡はピンク色のシートで覆われている

 

 

また、重力波は空間がゆがみ変化することで検出できます。空間がゆがみ変化するということは、鏡の位置がほんの少しずれるということなのですが、重力波以外の原因で鏡が揺れてしまっては、重力波検出のじゃまになってしまいます。そのため、鏡を設置する装置の15m上方の2階から防振装置を取り付け、振動を減らす工夫をしています。また、熱の影響も最大限に減らしたいので、ここで鏡をマイナス250度まで冷却します。

 

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▲装置上方の穴は、防振装置を取り付けるための穴があいていた

 

奥へ進むと、全長3kmの長~い腕が見えています。ずっと遠くに端が見えそうですが、実際は見える範囲よりもずっとずっと遠くまで続いているんです。驚いたのは、なんとトンネルには地球の丸みの影響をなくすために傾斜がついていることです。地球は丸いので、平らに掘っているつもりでも、実際には丸く曲がってしまうのです。あまりふだん考えませんが、言われてみると確かにその通りだなと思います。一方、レーザー光はまっすぐ進むので、それに合わせてトンネルをまっすぐ掘る必要があるのです。地球の丸みの影響をなくすためには、3kmで10mもの傾斜が必要だそうですよ。水もたまらないよう、適切に処理をしているそうです。

 

ちなみに、このトンネル内の移動は、ゴルフカートのような電気自動車か、電動アシスト付自転車か、ふつうの自転車だそうです(笑)。「自転車だと意外と長くて疲れる...」と、現場の方が仰っていました。

 

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▲この先に3kmの長~い腕が伸びている。パイプ内はすでに真空状態。

 

kagura01_09.jpg ←移動は自転車!

 

 

KAGRAは2017年に運用開始予定です。世界の3地点以上で観測されると、重力波が発生した場所が特定できより詳しいデータを得ることができるため、世界の観測ネットワークの整備が期待されます。「日本の」とか「アメリカの」ではなく、世界が協力できる科学の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらえたらと思います。また、見学を通して、世界最高水準の装置が立ち並ぶ中にもやはり人が関わり活躍する「人力」を感じました。装置の工夫や作業の様子などから、人類の知恵や努力で新たな「重力波天文学」の歴史が切り拓かれたのだと改めて思いました。

 

そんな思いを抱きつつ、運用後の成果を心から期待しながら、KAGRAをあとにしました。

 

次に見学したのは、東北大学が誇る「カムランド」のニュートリノ検出装置です!

訪問レポートまだまだ続きます。お楽しみに!

 

スタッフ/松田佳奈