月焼・窯元 陶芸家 佐藤百合子さんインタビュー

  title.jpg 15歳の時より陶芸を始めた佐藤百合子さんは新たな砂を求め、NASAの研究成果を元に開発された月の模擬砂と2005年に出会い、「月焼」を完成。その間第八回国際陶磁器展美濃コンペジションなどで入選を重ねつつ、現在は月焼窯元を主宰する傍ら、月周回衛星SELENシンポジウムにパネリストとして参加するなど、JAXAより月研究の一環を担う芸術家として認められています。

今回は仙台でご自身でも初となるお茶会&販売会のイベントを開催し(8/24、25)、たくさんのお客様に“手のひらで宇宙を感じて”いただきました。イベントの感想も含めた佐藤さんのインタビューをどうぞ。

-今回は初めてのお茶会イベントお疲れ様でした。本当にたくさんのお客様がいらっしゃいましたね。実際に仙台の、そして天文台にいらしたお客様と接してみていかがでしたか?
    tea3.JPG「お茶事は大人だけでのものではなくて、子供にとっても楽しいのだな、と実感しました。直接触れ合うお客様の反応はとても感動的で、小さいお子様が小さい手で一生懸命お茶碗を持って『このお茶の味が好き!』っておかわりしてくれたのも嬉しかったです。新しい刺激になりました」。

 


-お客様自身、「月焼」に触れてみて、さらにそれでお茶を飲めるなんて、とても貴重な体験だったかもしれませんね。

「今回はあえて、小さいお子様に大きくてゴツゴツしたお茶碗、大柄な方には小さな華奢なお茶碗でお出ししました。そういうギャップが、使う方の新たな感性の一面を引き出してくれるので、それも楽しんでいただけたと思います」。

-佐藤さんはまだお若くして「月焼」というひとつのジャンルを確立された唯一無二の存在になりつつありますが、そもそも月焼に着手されたきっかけはなんだったんですか?

「もともとは私がお酒が大好きで、2、3年前くらいに月見酒がしたいな~・・・とふと口にしたのがきっかけです。たまたま月の模擬砂を研究開発している友人の友人がいて、それを提供してもらえることになって、そこからですね、月焼のはじまりは」。

 yuriko3.JPG -小さいころから宇宙に対して興味・感心がおありだったとか・・・。

「今スペースアート会議という団体に所属していて、これは無重力の宇宙でアートはどのように変化・進化していくか、ということを色々な視点で実験したり研究している集まりなのですが、そういう活動をするもっと前から無意識に興味はあったと思います。大学入試の時に、“手をモチーフとしてあなたの関心を展開し造形しなさい”というテーマで粘土を作る課題が出たんですが、その時に私“宇宙人の手”を作ったんですね。たまたま読んでた「ナショナルジオグラフィック」の記事の中に“知的生命体である宇宙人の手はきっと器用な手だろう”っていうものがあって、印象に残ってたんでしょうね。これは今考えれば必然的な偶然だったのかもしれません」。

-では今後の佐藤さんの夢、または挑戦したい作品などあれば教えてください。

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「やはり月焼を大きな柱としながら、色々とチャレンジしていきたいです。月焼も最初は盃からはじめて、次にお茶碗に挑戦したのですが、お茶碗ってとても自由だということがわかったので、そうやってひとつひとつ、殻を破りながら成長していけたら良いと思います」。

-最後に仙台市天文台および佐藤さんのファンの方にむけてメッセージをお願いします。 

「科学と芸術を繋げるのが私の仕事だと思っています。天文台にいらっしゃるお客様は、皆様科学への良いイメージを持ってると思いますので、その良いイメージをそのままアートへの良いイメージに繋げていけたら、これ以上の幸せはございません」。