天文情報

天文Q&A

1.太陽について

Q1-1.日食とは?

A.

日食とは、太陽が月に隠される現象のことです。太陽がすべて隠される場合を「皆既日食」、太陽がリング状に残って見える場合を「金環日食」、太陽の一部分だけが月に隠される場合を「部分日食」と呼んでいます。

qA_nisshoku_shikumi01.png

 

日食は、太陽に照らされてできる月の影が地球にうつる場所で見ることが出来ます。

影には濃い「本影」と薄い「半影」があり、本影となる地域では「皆既日食」や「金環日食」、半影となる地域では「部分日食」となります。

qA_nisshoku_shikumi02.png

 

なお、日食を観察する際には注意が必要です。詳しくはQ1-3.日食を安全に観察するには?をご覧ください。

Q1-2.次回の仙台での日食はいつ?

A. 

2019年12月26日以降に仙台で見られる日食についてお知らせいたします。

仙台(北緯38°15′ 東経140°45′)

 

皆既日食

2609年4月26日

 

金環日食

欠け始め 金環食始め 最大 金環食終り 欠け終り 食分
2413年10月25日 12:48:48 14:24:34 14:25:20 14:26:07 15:51:36 0.931

 

部分日食

欠け始め 最大 欠け終り 食の最大時の食分 食の最大時のかける割合(面積比)
2020年 6月21日 16:11:58 17:07:09 17:57:43 0.402 0.285
2030年 6月 1日 15:49.2 17:04.1 18:10.0 0.858 0.798
2032年11月 3日 14:16.8 15:32.5 16:35.5 0.554 0.444
2035年 9月 2日 08:47.5 10:09.8 11:36.7 0.955 0.951

 

近いうちに皆既日食や金環日食を見たいという場合は、仙台を離れてみましょう。

2020年 6月21日 金環日食

2020年12月15日 皆既日食

2023年 4月20日 金環皆既日食

2023年10月15日 金環日食

2024年 4月 9日 皆既日食

2024年10月 3日 金環日食

※2021年6月10日は北極付近で金環日食、2021年12月4日は南極付近で皆既日食が起こる。

 

近いうちに日本で見られる皆既日食と金環日食

2030年 6月 1日    金環日食   北海道

2035年 9月 2日    皆既日食   北関東、北陸

 

(2035年まで:国立天文台・暦計算室により計算)
(2036年以降:北海道大学の日食図・日食計算データベースにより計算)


 

Q1-3.日食を安全に観察するには?

A.

qA_nisshoku_chui03.png

太陽を直接目で眺めると、「日食網膜症」という目の障害が起きたり、「失明」する可能性があります。過去の日食でも、危険な観察をしたために、網膜が傷ついた等の事例が複数報告されています。太陽の光はとても強く、目に有害な光も混ざっています。また、わずかな時間であっても目を傷つけてしまう可能性があります。必ず日食グラスを使ったり、ピンホールで投影するなど、正しい方法で観察を行ってください。

日食グラスの代用として、サングラスや下敷き、ススを付けたガラス、カメラのフィルム、カメラ用のND(減光)フィルター等を使うことは大変危険です。ほんのわずかな時間でも、太陽の光で角膜や網膜を傷つけてしまう可能性があります。 

-------------------------------------
※日食網膜症
不適切な方法による日食観察で起こる目の障害の総称。一過性で軽快する例から永続的な視力低下に至る例まであります。観察直後は異常がなくても、数時間後に目が痛む、視野の真ん中に影が生じる、ものが歪んでみる、視力が低下するといった症状が出ることもあります。
(日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会の資料より抜粋)
-------------------------------------
 

qA_nisshoku_chui04.png興味が赴くままに太陽を観察しようとすると、目を傷めてしまうだけでなく、交通事故などにあう危険性も高くなります。車が多い道路や駐車場などでの観察はとても危険ですので周囲の安全に配慮しながら観察しましょう。

 

qA_nisshoku_chui02.pngqA_nisshoku_chui05.png 

<観察方法>

☆日食グラスを使う

qA_nisshoku_houhou01.png日食グラスは太陽を見るために作られた特別なメガネで、太陽から出ている目に有害な光をカットするように作られています。フィルターの部分を目に当てて、太陽の光がじかに目に当たらないようにしながら眺めてください。ただし、長時間の使用は危険です。連続でも1分以内とし、休みながら観察するようにしましょう。目に違和感を感じた場合はただちに観察をやめてください。また、うす雲がかかった場合でも、直接見るのは大変危険ですので、必ず日食グラスを使ってください。

※日食グラスは使用する前にフィルターに傷がないかどうかなど、不具合がないかどうか必ずチェックしてください。

 

☆ピンホールや木もれ日で観察しよう!

 

qA_nisshoku_houhou02.png紙に押しピンなどで小さな穴を開けて、太陽の光を通して地面などに映して見ると、太陽の形がそのまま映ります。好きな形や文字の形に穴を開けて投影するとより楽しめます。お菓子の包装に使われている筒や、うちわに穴を開けてもよいでしょう。同じ原理で、木もれ日も小さな隙間から太陽の光が通って地面に映るため、太陽と同じ形になります。映った太陽の様子を写真で撮影すると、わかりやすい記録を取ることが出来ます。

 

◎ピンホールの最適な穴の大きさは?

<ピンホール作成のめやす>
穴の大きさ:投影位置までの距離
1.5mm:およそ1m
5mm:およそ10m

 

☆望遠鏡に太陽投影板をつけて観察

屈折望遠鏡と太陽投影板がある場合、正しい使い方をすれば、安全に太陽を観察することが出来ます。

望遠鏡を直接のぞくと、太陽の光は大変強い上にレンズで光が集められているため、大変危険です。絶対に止めてください。また望遠鏡と投影板の間は太陽の光が集められていて危険なので、顔を入れたりしないように注意してください。

 

qA_nisshoku_houhou03.png▲太陽投影板

※望遠鏡の使い方に慣れていない場合はお勧めしません。

Q1-4.仙台の夏至と冬至の太陽の南中高度を教えて下さい。

A.

太陽の南中高度(ちょうど真南に来るときの太陽の高さ)は季節によって違います。夏は高く、冬は低いです。それは地球の自転軸(地軸)が公転面に対して23.4°傾いているためです。

仙台の緯度を38度とすると、季節ごとの南中高度(h)は次の式で表すことができます。

<夏至> h=90-38+23.4=75.4(度)
<冬至> h=90-38-23.4=28.6(度)
<春分・秋分> h=90-38=52(度)

これらは毎年同じ高さになります。ぜひ季節の変化を楽しんでみてください。

2.月について

Q2-1.月食とは?

 

A.

月食とは、月が地球の影に入り込むことで欠けて見える現象です。満月の状態から徐々に欠けていき、数時間ほどで再び元の姿に戻ります。

月食は、太陽・地球・月がこの順番で一直線に並び、地球の影に月が入り込むことで起こります。月が地球の影に入るのは年に2回ほどで、その時に月が昇っている地域であれば観察できます。

日食とは異なり、観察場所によって月の欠け方が変わることはありません。

 

lunareclipse1.jpgなお、地球の影には濃い部分「本影」と薄い部分「半影」があり、月が地球の影のどの部分に入るかによって月食の名称が異なります。月が本影にすべて入ると「皆既月食」になります。月の一部分だけが地球の影に入ると「部分月食」です。また、月が半影だけを通過していくものは「半影月食」と呼びます。

eclipsemoon3.jpg

 

▼皆既月食の見え方

1410081954kaiki.jpg

 

▼部分月食の見え方

1410081849bubun.jpg

 

▼半影月食の見え方

 (満月よりもやや暗く見えますが、肉眼では分かりにくいかもしれません)1410082140hanei.jpg

Q2-2.次回の仙台での月食はいつ?

A.

2020年1月11日以降の仙台で見られる月食についてお知らせいたします。

記載している月食は、仙台で比較的観察しやすい高度で食の最大が起こる場合に限っています。

仙台(北緯38°15′ 東経140°45′)

 

皆既月食

部分食の始め 皆既食の始め 食の最大 皆既食の終わり 部分食の終わり 食の最大時の食分
2021年 5月26日 18:44.6 ※1 20:09.4 20:18.7 20:28.0 21:52.8 1.015
2022年11月 8日 18:08.9 19:16.3 19:59.2 20:42.0 21:49.4 1.364
2025年 9月 8日 01:26.7 02:30.3 03:11.8 03:53.2 04:56.8 ※2 1.367
2026年 3月 3日 18:49.7 20:04.0 20:33.7 21:03.3 22:17.5 1.156
2029年 1月 1日 00:07.3 01:15.9 01:52.0 02:28.1 03:36.8 1.251

 

部分月食

部分食の始め 食の最大 部分食の終わり 食の最大時の食分
2021年11月19日 16:18.4 ※3 18:02.9 19:47.4 0.978
2023年10月29日 04:34.4 05:14.1 5:53.6 ※2 0.128

 

なお、皆既月食および部分月食の始めと終わりの前後には半影月食が起こります。肉眼で観察する場合は変化が分かりにくいですが、普段の満月よりもやや暗く見えます。

また半影食のみの月食も起こります。

 

半影月食

半影食の始め 食の最大 半影食の終わり
2020年11月30日 16:30.0 ※1 18:42.8 20:55.8
2023年 5月 6日 00:12.1 02:22.9 04:33.7 ※2
2027年 7月19日 00:37.2 01:02.9 01:28.6

 

※1 月の出直後なので、観察は難しい
※2 月の入り直前なので、観察は難しい
※3 食の始めは地平線下なので、観察はできない

(国立天文台・暦計算室により計算)

Q2-3.「中秋の名月」は必ずしも満月ではない?

A.

旧暦の毎月十五日の夜を「十五夜」といいます。なかでも旧暦八月十五日の月は「中秋の名月」として親しまれ、お供え物をしてお月見をする習慣が各地に残されています。

しかし、中秋の名月は必ずしも満月になるわけではありません。その理由は、「満月の月齢」と「旧暦十五日の月齢」をそれぞれ考えると分かります。

 

●満月の月齢

新月から次の新月までの周期は、約29.5日です。

月が地球の周りを回る軌道が円軌道ではなくわずかに楕円軌道のため、新月から満月までの日数は13.9-15.6日の幅があります。

 

●旧暦十五日の月齢

旧暦では、新月(月齢0.0)となる瞬間を含む日を一日(ついたち)としていました。

一日の初めに新月を迎えるか、それとも一日の終わりに新月を迎えるかによって、旧暦十五日の月齢は13.0-15.0の幅を持ちます。

 

以上の2つから、旧暦十五日が満月となるのは「満月になりうる月齢の範囲」と「旧暦十五日の月齢の範囲」とが重なる場合であり、それ以外は満月にはなりません。

旧暦八月十五日の「中秋の名月」も同様の理由により、必ずしも満月とはならないのです。

 

q23_moon_age_day.png

Q2-4.月の出を見られない日はあるの?

A.

あります。

 

月の出の時刻は、平均すると1日に約50分ずつ遅くなります。(※)

例えば、ある月の1日18時00分に月が昇ってきたとすると、翌日2日の月の出は18時50分という具合です。

 

ここで、ある月の1日の月の出が23時30分だとします。翌日には約50分遅れで月が昇るため、2日の24時20分に月の出となります。これは3日の0時20分となるため、2日には月の出が起こらないことを意味しています。

同様に、月の入りが起こらない日も出てきます。

 

※ 実際の月の出の遅れは季節や場所によって変化します。

Q2-5.月が大きく見えるときがあるのはなぜ?

A.

地平線近くの空の低い場所に月が見えている時、普段よりも月が大きく見えることがありますが、月の見かけの大きさが1日の中で大きく変わることはありません。

目の錯覚です。

 

なぜ錯覚が起きるかははっきりとはわかっていません。地平線に近いと近くに山や建物などの風景が目に入り、それと比べて大きく感じてしまうから、と言われることもあります。

太陽も同様に大きく見えることがありますが、こちらも月と同じで目の錯覚です。

なお実際には、月が頭の真上にある時の方が、地平線近くにある時に比べて地球の半径分私たちの近くで輝いています。

 

また、月は楕円を描くように地球の周りを回っているため、地球と月との距離は変わります。

それに合わせて月の見かけの大きさも変化しますが、目で見ただけではほとんど気づかない程度です。

 

月の大きさは、手を伸ばして持った5円玉の穴の大きさとほぼ同じです。大きく見えるときも、小さく見えるときも同じように穴の中に月が収まります。

ぜひ、試してみてください。

Q2-6.月までの距離はどれくらい?

A.

月は、地球の周りを回っている衛星です。地球から一番近い天体でもあります。

月の軌道は楕円形であるため、地球から月までの距離は一定ではありません。平均すると約38万㎞ですが、地球から一番近い時には約35万㎞、遠い時には約40万㎞となり、約5万㎞の差があります。この距離の変化によって、見かけの大きさとして1割程度変化しますが、肉眼ではほとんど気がつきません。

また、アポロ宇宙船が月面に置いてきた鏡を使って距離を測定すると、毎年約3.8㎝ずつ地球から遠ざかっていることが分かっています。

 

もしも身近な乗り物で行ったらどれくらい時間がかかるのでしょうか?

 

徒歩    約11年   (4㎞/h)

自転車   約3年   (15㎞/h)

自動車   約6ヶ月  (80㎞/h)

新幹線   約53日  (300㎞/h)

飛行機   約16日   (1000㎞/h)

 

かなりの時間がかかることが分かります。

過去に月面着陸をしたアポロ宇宙船でも2-4日(地球周回も含めての時間)かかりました。

気軽に行ける時代はもう少し先のようです。

3.惑星について

Q3-1.「火星接近」ってなに?

 

191022_mars.png

A.

図のように、火星は太陽の周りを、地球の2倍ほどの約687日で1周しているため、約2年2ヵ月毎に地球が火星に近づくことになります。

また、地球の公転軌道は円に近いのに対して、火星の公転軌道は楕円形をしているため、最接近距離はその都度異なります。

 

火星の公転周期の中で、火星が太陽に近いとき(火星の近日点(※)あたり)に地球と接近することを「大接近」、太陽から遠いとき(火星の遠日点(※)あたり)に地球と接近することを「小接近」と呼ぶこともありますが、これらは慣例で呼ばれる名称であり、明確な定義はありません。

 

地球と火星との距離によって、火星の見かけの明るさは大きく変化します。

なかでも大接近の頃はとくに火星が明るく見えるため、観察するのに適しています。

 

※ 惑星が太陽に最も近づく位置のことを「近日点」、最も遠ざかる位置のことを「遠日点」という。

 

Q3-2.惑星が見やすいのは、どんなとき?

A.

惑星が見やすい時期は、地球、惑星、太陽の位置関係によって決まります。

惑星も地球と同じように太陽の周りを周っていますが、地球の内側を周っている惑星(水星、金星)を内惑星、外側を周っている惑星(火星、木星、土星、天王星、海王星)を外惑星とよんでいます。

その位置によって、図のように名前がついています。

 

QandA020wakusei.JPG

 

内惑星が太陽から最も東に離れて見えるときを「東方最大離角」、西に最も離れて見えるときを「西方最大離角」といいます。このころ、内惑星が最も見やすい時期になります。「東方最大離角」のときは夕方の西の空で見やすく、「西方最大離角」のときは明け方の東の空で見やすくなります。

一方、地球から見て太陽と同じ方向にあるときを「内合」、「外合」とよんでいます。このころは、明るい太陽のそばにあるために見ることはできません。

 

外惑星の場合も、地球から見て太陽と同じ方向にあるときを「合」といい、このころも地球から見ることはできません。太陽から見かけの位置が離れるほど見やすくなり、特に太陽と正反対にある「衝」の時期には一晩中見ることができ、また地球との距離が短いので明るい姿を見ることができます。

 

さて、それではどれくらいの周期で見やすい時期がやってくるのでしょうか?

惑星が太陽に対して同じ位置にくるまでの時間、たとえば「合」から「合」、または「衝」から「衝」までの時間を「会合周期」とよびます。それぞれの惑星の「会合周期」は以下の通りです。

 

(内惑星)

水星・・・・115.9日

金星・・・・583.9日

(外惑星)

火星・・・・779.9日

木星・・・・398.9日

土星・・・・378.1日

天王星・・・369.7日

海王星・・・367.5日

(『理科年表2020』参照 ※会合周期は常に一定ではありません。)

 

外惑星は、会合周期ごとに「衝」となり、見やすい時期を迎えます。

内惑星は、会合周期ごとに「内合」を迎えると考えると、その前後で「東方最大離角」と「西方最大離角」となり見やすい時期を迎えます。

Q3-3.土星の環は、いつも同じように見える?

 A.

土星のトレードマークともいえるあの美しい環は、いつも同じように見えているわけではありません。

土星は、公転軌道面に対して約26.7度傾きながら、約30年かけて太陽の周りを1周しています。

この様子を公転軌道面がほぼ同じである地球から見ると、環の傾きが図のように変わります。

 

20110506dosei.jpg ▲土星の環の傾きの変化

(上が南、下が北となっています。)

 

さらに、約15年に1度、土星の環が見えなくなる「環の消失」と呼ばれる現象が起きます。といっても、土星から環が本当になくなってしまうわけではありません。環の厚さはせいぜい100mほどと極度に薄いため、真横から見ると環が消えたように見えるのです。

 

また、環の消失が起こる前後、つまり地球から見て環がわずかに傾いている場合、環が黒っぽく見えることがあります。なぜなら、環にあたる太陽の光が減るためです。土星の本体と同じように、土星の環は太陽光を反射することで輝いています。しかし、太陽を中心とする公転軌道面に対して環がほぼ平行になると、環に光がほとんど当たらないため暗くなってしまうのです。

 

ほかにも、土星の環の傾きが変化する理由には、土星の公転軌道面が地球の公転軌道面に対して1度程度傾いていることも関係しています。

 

2002年頃に環が最も大きく傾いて環の南側が見えていましたが、だんだんと水平に近づき、2009年には環の消失が起こりました。その後だんだんと環の傾きは大きくなっていき、2017年には最大を迎えました。そして次回、「環の消失」が起きるのは2025年となります。

このように、「環の北側→環の消失→環の南側→環の消失」というサイクルが土星の公転周期の約30年間で繰り返され、その半分の約15年間で「環の消失」が起こることになります。

Q3-4.金星の明るさはどのくらい?

A.

金星は、地球と同じように太陽の周りを回る惑星です。太陽に照らされる部分が昼、影の部分が夜であるのは、地球だけではなく他の惑星も同様です。夜空に浮かぶ惑星の輝きは、地球から見て惑星の昼の部分が見えているのです。

 

金星は、内惑星(※1)です。内惑星は外惑星と違い、太陽に照らされて輝く昼の部分の面積が大きく変化します。その様子を望遠鏡で観察すると、月のように満ち欠けしていることがわかります。

 

金星の明るさは、「地球からの距離」と「金星の形(太陽に照らされた部分の割合)」によって決まります。

金星と地球が一番近づくのは内合の時ですが、このとき地球からは金星の夜の部分しか見えないため、観察することができません。内合よりも早ければ早いほど、あるいは遅ければ遅いほど、金星と地球との距離は広がりますが、地球から見て金星の昼の部分の割合は増えていくため、観察することができます。

 

2014_Venus.jpg

 

また、内合の約36日前と約36日後に金星は最も明るくなります。この時の明るさは、なんと-4.7等級にもなります。

では-4.7等級ってどのくらいの明るさなんでしょう?

 

「等級」は星の明るさを表す単位で、5等級小さいと100倍明るくなります(※2)。このことを使って、織姫星ベガ(0.0等級)と彦星アルタイル(0.8等級)とそれぞれ比較してみると次のようになります。

 

ベガ:    差が4,7等級 → およそ76倍

アルタイル: 差が5.5等級 → およそ158倍

 

真夏の夜空に一際明るく輝くベガでも、75個くらい集まってはじめて金星の輝きと並ぶことができます。アルタイルにいたっては、その倍の150個集まっても金星には及びません。この2つの星が暗い訳ではなく、それほどまでに金星が明るくなるのです。

 

これくらい明るいと、空のどこにあるのかがわかっていれば、昼間でも金星を見つけることができます。

ぜひチャレンジしてみてください。

 

※1 内惑星と外惑星、惑星の位置の名称は「Q3-2.惑星が見やすいのは、どんなとき?」を参照

※2 「等級」の詳しい説明は「Q5-2.「1等星」と「6等星」の明るさはどれくらいちがうの?」を参照

4.流星・人工衛星について

Q4-1.流れ星と隕石の違いは?

A.

流れ星(以下「流星」)も隕石も、宇宙から地球にやってくることに変わりはありません。

しかし、その起源は異なります。

 

流星は、主に彗星が撒き散らしていった塵などに由来します。その大きさは、大きいものでも数㎝ほどしかないため、ほとんどが大気中で燃え尽きてしまいます。

発光の仕組みや流星群については、「Q4-2.流星群ってなに?」をご覧ください。

 

一方隕石は、「小惑星」と呼ばれる小さな岩石のような物質に由来しています。

小惑星の多くは火星と木星の間に存在していますが、地球の周りにも存在しています。この小惑星やそのかけらが、燃え尽きずに地上まで落下してくるのが隕石です。

 

隕石は世界各地で発見されていますが、実は宮城県でも発見されています。その隕石は1984年に黒川郡富谷町で発見され、「富谷隕石」と名付けられました。現在は国立科学博物館に保管されています。

詳しくは、ソラリストVol.23や富谷隕石30周年記念インタビューをご覧ください。

 

ソラリスト:http://www.sendai-astro.jp/archive/soralist_vol23.pdf

インタビュー:http://www.sendai-astro.jp/square/blog/2014/08/30.html

Q4-2.流星群ってなに?

A.

毎年ほぼ同じ時期に、夜空のある一点から放射状に出現する流星の一群のことを流星群といいます。

流星とは、宇宙空間に漂っている塵や砂粒が地球の大気にぶつかり、大気や塵の成分が光を放つ現象です。

 

流星の元になる塵は、主に彗星(すいせい)が通った後に残ったものです。

彗星は氷や塵でできており、太陽に近づいてくると氷が溶けて、塵を宇宙空間に撒き散らします。その塵は、彗星の軌道に沿って宇宙空間に広がり、しばらくの間帯状に残り続けます。

もし、地球の太陽の周りを回る軌道と彗星がたどった軌道とが交差していれば、彗星が残していった塵の帯を地球が横切ることになります。その時、塵の粒子が地球の大気に飛び込んでくることで、流星群として見ることができるのです。

地球は1年かけて太陽の周りを1周するため、毎年ほぼ同じ時期に塵の帯と交差して、特定の流星群を見ることができます。

また、同じになるのは時期だけではありません。交差する角度もほぼ変わらないため、流星群を地上から見ると流星が空のある一点から放射状に流れるように見えます。その点を放射点と呼んでいます。そして、その放射点がどの星座にあるかによって、その流星群の名前が決められるのです。

また、塵を撒き散らしていった彗星を流星群の「母天体」といいます。

流星群によって流れる速さや色、個数、母天体などが異なるので、それぞれの特徴を知っておくとより流星群の観察を楽しめるでしょう。

2020年のペルセウス座流星群のページ:http://www.sendai-astro.jp/observation/blog/2020/08/20200812.html

 

<主な流星群はこちら>

流星群名 出現時期
☆ しぶんぎ座 ※1 12/28-1/12
4月こと座 4/16-4/25
みずがめ座η 4/19-5/28
みずがめ座δ南 7/12-8/23
☆ ペルセウス座 7/17-8/24
おうし座南 9/10-11/20
オリオン座 10/2-11/7
10月りゅう座 ※2 ※3 10/6-10/10
おうし座北 10/20-12/10
しし座 ※3 11/6-11/30
☆ ふたご座 12/4-12/17

(『理科年表2020』参照)

 

☆印の3つの流星群は「三大流星群」とも呼ばれ、毎年ほぼ安定して多くの流星が流れます。

※1 もともとは「壁面しぶんぎ座」という星座に放射点があったため、この呼び方が慣例になっている。

※2 母天体の名からとって、ジャコビニ流星群と呼ばれていた。

※3 毎年ではなく、数年から数十年の周期で活動が活発になると予想されている流星群。

Q4-3.国際宇宙ステーション(ISS)ってなに?

A.

国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)は日本、アメリカ、ロシア、欧州など計15ヵ国が協力して建設し、運用している宇宙の有人実験施設です。

1998年に組み立てが始まり、2011年7月に完成しました。完成後、宇宙飛行士たちはこのISSに長期間滞在し、地球や宇宙を観測したり、宇宙環境を利用した様々な研究や実験を行っています。

 

ISSは、地上から約400km離れた地球周回軌道上で、約90分で地球の周りを一周します。その高度は、最低高度278km、最高高度460kmの範囲の軌道に維持されています。

ISSは、大気の抵抗などにより毎月約2.5kmずつ徐々に高度が低下するため、毎年数回ブースターを使ってより高い高度に移動させる必要があります。およそ2周回(3時間)に渡ってエンジンを作動させ、数km高い高度に押し上げています。

 

ISSは2016年に運用を終える予定でしたが、現在2024年までの運用延長が発表されています。

2024年以降のISSの未来はまだわかりませんが、運用を民間へと移して商業用途での活用なども想定されています。

ISSの今後の動向に注目しましょう。

Q4-4.国際宇宙ステーション(ISS)は地上から見える?

A.

国際宇宙ステーション(ISS)は、宇宙空間に浮かぶ有人実験施設です。上空約400kmを飛んでおり、約90分で地球のまわりを一周しています。

その大きさはサッカー場と同じぐらい巨大なため、条件が揃えば1等星以上の明るさで輝きます。光の点が、音もなく空をすーっと横切る様子を観察することができるでしょう。

 

同じように、空を横切る光には流れ星と飛行機が考えられます。

流れ星とのわかりやすい違いは、移動するスピードです。流れ星は一瞬で消えてしまいますが、ISSはもう少しゆっくりと動きます。

飛行機と見分けるには、点滅しているかを確かめましょう。飛行機の場合、赤・青・白のライトが点滅しています。ISSが光って見えるのは、太陽の光に照らされ輝いているためであり、明るさが変わることはあっても点滅することはありません。

 

ISSが見える条件は、次の2つです。

①地上は太陽の光が届かず暗い状態であること

②ISSには太陽の光が当たり光っていること

そのため、ISSは日の出前と日没後の2時間ほどの間に見えることが多くなります。ISSの日照時間が長くなる夏至のあたりを除いて、真夜中頃にはISSを見る機会が減ってしまいます。

 

ISSがいつ見られるのかの予報は、「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」のホームページなどで知ることができます。

 

『JAXA 「きぼう」をみよう』:http://kibo.tksc.jaxa.jp/

5.恒星・銀河・宇宙について

Q5-1.星食とは?

 

A.

月が太陽を隠す現象を「日食」というように、月が恒星を隠す現象を「星食」といいます。
月は約27.3日で地球の周りを回っているため、地球上から見ると星座の間をゆっくり移動していくように見えます。
その中でも月が明るい恒星を隠すときには、その恒星の名前を用いて「○○食」といいます。
(例)アルデバラン食、レグルス食・・・etc

 

seisyoku01.jpg▲図1 月が恒星を隠す様子(概念図)

 

月に恒星が隠れる瞬間を「潜入」、月から恒星が出てくる瞬間を「出現」といいます。
観察する場所によって潜入時間、出現時間が異なるため注意が必要です。

 

seisyoku02.jpg▲図2 緯度による見え方の変化(概念図)

Q5-2.「1等星」と「6等星」の明るさはどれくらいちがうの?

A.
星の明るさを表す単位である「等級」は、紀元前140年頃プトレマイオスの書物に初めて記され、もともとの基礎を考え出したのはヒッパルコス(紀元前190~120年頃)だと考えられています。

 

古代の天文学者は、恒星の明るさを6つの尺度に分け、街明かりのない夜空で肉眼でやっと確認できる暗い星を6等星、逆に最も明るい星を1等星と呼び、それより少し暗いものを2等星、3等星・・・と呼んでいきました。

 

そして19世紀になってからノーマン・ポグソンが、1等星と6等星の明るさの比がちょうど100倍になるように等級を定義し、現在ではこの方法を用いています。すると、明るさが1等級だけちがう恒星は、明るさが「100の5乗根」倍(約2.5倍)ちがうということになります。(※1)


また現代では、星の明るさをより高い精度で測ることができるので、小数点を使って表すことができます。そしてこの尺度を用いると、非常に明るい恒星の等級にはマイナスの数字も使われます。

 

【全天の1等星の一覧】
・シリウス(おおいぬ座)             -1.5等級
・カノープス(りゅうこつ座)             -0.7等級
・ケンタウルス座α星(ケンタウルス座)  -0.3等級
・アークトゥルス(うしかい座)            0.0等級   
・ベガ(こと座)                       0.0等級
・カペラ(ぎょしゃ座)                              0.1等級
・リゲル(オリオン座)                             0.1等級
・プロキオン(こいぬ座)                          0.4等級
・ベテルギウス(オリオン座)                   0.4等級
・アケルナル(エリダヌス座)                   0.5等級
・ハダル(ケンタウルス座)                      0.6等級
・アクルクス(みなみじゅうじ座)               0.8等級
・アルタイル(わし座)                             0.8等級
・アルデバラン(おうし座)                        0.8等級
・アンタレス(さそり座)                           1.0等級
・スピカ(おとめ座)                                1.0等級
・ポルックス(ふたご座)                         1.1等級
・フォーマルハウト(みなみのうお座)        1.2等級
・デネブ(はくちょう座)                           1.3等級
・ベクルクス(みなみじゅうじ座)               1.3等級
・レグルス(しし座)                                1.3等級
                    (理科年表 平成25年より)

 

(※1)m等星の光量Lmとn等星の光量Lnとの間には、
n-m=2.5log(Lm/Ln) (ポグソンの式)という関係があります。


 

Q5-3.新星・超新星の違いは?

A.

星(恒星)が急に明るさを増して、まるで新しい星が生まれたように見える現象を「新星」または「超新星」と呼んでいます。その原理と違いは以下のとおりです。

 

【新星】
恒星が数日といった短期間のうちに9~13等も爆発的に明るくなり、その後ゆるやかに減光して爆発前の状態にもどるのが「新星」です。

新星の本体は近接した連星系で、巨星に進化しつつある星から白色矮星へとガスが流れ込み、白色矮星の表面に降り積もったガスが核爆発を起こすことにより急激に明るく輝きます。これは、その星自体の輝きが強くなる現象なので、減光したあともその星は残っています。

 

 

rsoph_pparc_big_edited-1.jpg                ▲新星爆発の想像図

                 巨星(右)から白色矮星(左)へとガスが流れ込む

                   (Illustration Credit & Copyright: David A Hardy & PPARC / NASA  

 

【超新星】

新星よりも急激に、ある日突然明るく輝き始めるものが「超新星」です。明るさは新星の100万倍にもなり、その後、数年で暗くなっていきます。超新星には単独星型と連星型があり、新星とは区別されています。

 

・単独星型 ( II 型、 Ib 型、 Ic 型 )

大質量の星 (太陽の8倍以上の質量をもつ恒星)が一生の最後に起こす爆発(超新星爆発)によって明るく輝くものです。爆発の後、中心には中性子星やブラックホールが残されます。

 

・連星型 ( Ia 型 )

新星と同様の現象ですが、爆発後、白色矮星は粉々になってなくなります。

 

なお、超新星では1054年におうし座で見られたものが有名です。銀河系内の比較的地球に近い星が起こしたので、昼間でも見えるまで明るくなり、その記録が日本や中国に残っています。また、1987年には大マゼラン雲に現れたものが話題になりました。

超新星は、毎年複数個発見されていますが、ほとんどが銀河系以外の銀河の中のものなので、肉眼では見られない明るさのものが多くなっています。

 

6.暦・時刻について

Q6-1.曜日はどうやって決まったの?

 

A.

曜日の名前は太陽・月・惑星の名前に由来します。

 

・ 日=太陽、月=月

・ 火=火星、水=水星、木=木星、金=金星、土=土星

 

なぜこのように曜日と惑星が関係しているのでしょうか。

昔の人々は規則的な動きをする夜空の星々から時間や季節を読み取っていました。そんな星々の中で5つの星だけが星を追い越したり途中で引き返したりして不思議な動き方をしていることを発見しました。これらが惑う星「惑星」です。5つの惑星は肉眼で見ることのできる水星、金星、火星、木星、土星です。

わたしたちはこれらの惑星が太陽を中心にまわっていることを知っていますが、昔の人々は地球を中心に惑星や太陽、月が回っていると考えていました。地球から近い順に、月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星と考えていました。

youbi1_800pix.jpg

そして太陽、月、5つの惑星が時間や空間を支配すると考えていたのです。また、月が新月から上弦、上弦から満月、満月から下弦、下弦から新月へと変わる間隔がそれぞれ7日間ぐらいだということも判明していました。このため人々は、この7日間をそれぞれ七つの星の神が支配していると考えたのです。これが「1週間」という考え方の基になりました。

youbi2_800pix.jpg

曜日の順番もこの考え方に沿って決められています。図のように1日目は最も遠いところを回る土星の神が支配する 「土星の日」で、1時間ごとに、土星、木星、火星、太陽......と遠い順に交代していきます。24時まで続けると、2日目は太陽から始まり、太陽が全体を支配する「太陽の日」になります。その後も同じように1時間で交代していくと、毎日の最初にくる惑星は「土日月火水木金」の順になるのです。ちなみに1日を24時間にすることは、黄道12星座に基づき、すでに決められていました。  

 

どの曜日を週の初めとみるかは、時代や地域によって違うようですが、このような考え方で1週間のそれぞれの曜日が決められました。

 

また火星(Mars)と火曜日(Tuesday)などの「曜日の名前」と「惑星の名前」の関係については以下のウェブページをご覧ください。

曜日の名前(国立天文台 暦計算室) 

参考資料:「暦と占いの科学」永田久(新潮選書)

Q6-2.「春分の日・秋分の日」はどのように決まるの?

 

A.

「春分の日」とは、太陽がちょうど「春分点」を通過する瞬間を含む日のことです。 「秋分の日」とは、太陽がちょうど「秋分点」を通過する瞬間を含む日のことです。

 

地球は太陽の周りを1年間かけて1周するため、地球から見ると、太陽は星座をつくる星々の間を動いていくように見えます。 この太陽の通り道のことを「黄道」とよびます。 一方で地球の赤道を天までずっと延長したものを「天の赤道」、北極と南極を延長した点を「天の南極」、「天の北極」とよんでいます。

 

「黄道」と「天の赤道」は、お互いがおよそ23.4度で交差していますので、2点で交わることになります。 この2点のうち、太陽が南側から北側に通過する点を「春分点」、北側から南側に通過する点を「秋分点」とよび、 太陽がちょうど「春分点」を通過する瞬間を含む日のことを「春分の日」、 太陽がちょうど「秋分点」を通過する瞬間を含む日のことを「秋分の日」と決めています。

shunbunten.jpgのサムネイル画像

「春分の日」と「秋分の日」は、前年の2月1日に、国立天文台が発表する「暦要項」が官報に掲載されることによって正式決定となります。 日付が前年に決定する理由は、地球の運行状況が常に変化しているため、計算上の結果と将来の実際の観測結果が必ずしも一致するとは限らないからです。

 

 

Q6-3.夏至に日の出の時刻が一番早く、日の入りの時刻が一番遅くならないのはなぜ?
冬至に日の出の時刻が一番遅く、日の入りの時刻が一番早くならないのはなぜ?
春分・秋分の日における昼間の長さが12時間ちょうどでないのはなぜ?

A.

地球は太陽の周りを円軌道ではなく楕円軌道で回っています。
さらに、地軸が公転面に対して23.4度傾いたまま公転しているために太陽の見かけの動きは一定ではありません。
太陽が南中してから次に南中するまでを「1太陽日」と言いますが、上のような理由から1太陽日は1年を通して変化します。それを補正するため、1年間にわたって平均して長さを一定になるように決めたものが「平均太陽日」と言い、それに基づく時刻系を「平均太陽時」としています。平均太陽時は1年を通じて変化しません。これが私たちが普段使っている時計と同じと思ってください。
これに対し、見かけの太陽で決めた時刻系を視太陽時といいます。視太陽時は1年を通じて変化しています。
この平均太陽時と視太陽時とのずれのことを「均時差」といいます。均時差は年間を通じて変化しており、最大16分にもなります。
日本標準時のある明石においても正午に見える太陽の位置は真南より東西方向にずれます。
日の出と日の入りの時刻は均時差の影響を受けるため、夏至や冬至の頃においてもずれが生じています。
一年のうちに日の出が一番早い日と日の入りが一番遅い日は異なり、日の出が一番遅い日と日の入りが一番早い日は異なるのはこの理由からです。

 

次に春分・秋分の日においては均時差に加え、主に次のような理由から昼と夜の長さが異なります。
①大気による屈折で太陽の位置が実際より上に見えるため、太陽が上に見える角度の分、日の出が早く、日の入りが遅くなります。
②太陽の上端が地平線に接するときに日の出、太陽がすべて地平線下に沈むときを日の入りとしているので、太陽直径の分昼が長くなります。
これらを合わせると日本標準時の明石では1日の半分12時間よりも6分強、昼の長さが長くなります。

 


 

Q6-4.日の出と日の入り・月の出と月の入りの時刻の決め方は?

A.

新聞などに毎日掲載されている日の出と日の入りの時刻ですが、きちんとした定義があります。

太陽の頭の部分(上辺)が水平線と接する瞬間が日の出の時刻となります。
反対に太陽がすべてすっぽり見えなくなる瞬間が日の入りの時刻となります。

hinodehinoiritukinodetukinoiri2.gif

続いて月の出と月の入りの定義についてですが、月は太陽とは時刻の計り方が異なります。
月は太陽と違い満ち欠けする天体ですので、基準は「その日の月が満月である」と考えて、その中心が水平線に接した瞬間を月の出、月の入りの時刻といいます。

 

hinodehinoiritukinodetukinoiri3.gif

実際には、地形や大気差※2などの影響からこの定義とは、ずれています。

春分、秋分の日には「太陽が真東から昇って真西に沈むので、昼と夜の時間が12時間ずつで全く同じになる。」とは言うものの、厳密には太陽が出ている昼間の時間の方が、太陽の大きさ分だけ長くなります。大気差を考慮して計算すると、さらに昼間の時間は長くなり、夜の時間よりも10分程度長くなっています。

 

 

 ※2  大気差とは、太陽や月からの光が真空の宇宙から地球の大気層に入ると屈折し、見かけの高度(視高度)が真高度より大きくなる現象(量)のことです。特に地平線に近く高度が低いほど顕著です。

 

7.その他

Q7-1.クリスマスツリーと星の関係は?

tree2009.jpg

 

A.

クリスマスツリーの由来には諸説ありますが、宗教改革で知られるマルティン・ルターが

このイルミネーションを始めたと言われています。

ルターは礼拝の帰り道に、森の木々の間にきらめく無数の星の美しさに感動して、

子供たちにその美しさを伝えるために、もみの木を持ち帰って、枝にたくさんのロウソクを飾り、

星空を再現しました。

現在ではロウソクから電球へと姿を変えましたが、世界中でクリスマスツリーが飾られています。

 

ツリーのてっぺんに飾られる星は「ベツレヘムの星」と呼ばれ、イエス・キリストが誕生した時に

空に明るく輝いたと言われる星に由来しています。

ベツレヘムの星が一体どんな星だったかについては、二つの惑星が重なり合って明るく見えたという

説や、明るい彗星がやってきたという説など、諸説ありますが、本当のところはわかっていません。

 

Q7-2.天の川を見るには?

A.

天の川は、星が無数に集まって雲の帯のように見えるものです。

ぼんやりとした天の川を見るには、

①街灯や看板の明かりが少ない、空が暗いところ

②山や建物が密集していない、空が開けたところ

がおすすめです。 

街明かりは淡い星の光をかき消してしまうので、全く無いに越したことはありません。

 

また、冬よりも夏の方が天の川が濃く見えるのでおすすめです。

もちろんすっきりと晴れた日でなければ見えません。さらに月明かりが強いとはっきり見えません。

 

 

仙台市天文台から比較的近く、天の川が見られるところ

 

☆泉ヶ岳方面(手軽に楽しみたい人向け)

☆蔵王方面(街明かりが少なく空が澄んでいるが、寒いので防寒対策を・・・)

☆山元町方面(海岸沿いは空が暗く、海があるため東の空が開けている)

 

注)観察に行く場合は、近隣住民の迷惑にならないようご配慮をお願いします。

 

Q7-3.真北と磁北のずれはどのくらい?

A.

 地球は北極点と南極点を結ぶ軸(地軸)を中心に自転しています。

 

地軸の北極側が指し示す方を真北(しんぽく)と言います。
地図などの北とは、真北を表しています。

 

それに対し、方位を知るのに使われる方位磁石は地球の磁場に従っており、地場が指し示す北(N極)のことを磁北(じほく)と言います。
磁北(N)は真北と少しずれています。この差のことを偏角と言います。
偏角は場所や時代によって違いますが、仙台では現在7度くらい西(W)です。
よって真北を知りたい場合は、方位磁石が示す北(磁北)よりも東(E)に7度ずらして修正しなければなりません。

 

また北を指し示す星として有名な北極星は、地軸を北へ伸ばした方向である天の北極から、0.85度ずれたところにあります。
ですから、北極星は一年中ほとんど動かずほぼ北を示す星なのです。
さらに北極星の地平線からの高さは、その土地の緯度と同じになります。
どこか旅行に行くときには、北極星の高さを観察してみると、遠くに来た気分を味わえますよ!!

 

 

Q7-4.仙台市天文台の1.3m反射望遠鏡の位置を教えてください。

A.

仙台市天文台の1.3m反射望遠鏡の位置はこちら。

 

緯度   北緯 38°15′22.99″

経度  東経140°45′18.56″

標高  165m