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特異小惑星 2009 DD45 の撮影成功!

3月2日月曜日は休館日なのですが、月1回の大事な会議にあたっていました。
通常に出勤したくさんのメールに目を通していました。
その中で、毎回貴重な観測情報を送ってくれているNさんからのメールに目が止まったのです。
それは「アポロ型特異小惑星2009 DD45の接近」というものでした。

ここで、小惑星のことについて簡単に紹介しておきましょう。
通常の小惑星は、火星と木星の軌道付近を数年の周期で公転しています。
仙台市天文台で発見した小惑星21個中20個までがこれに当たります。
残り1個が「AAA天体」の一つなのです。
それは何かといいますとアポロ(Apollo)・アモール(Amor)・アテン(Aten)の頭文字を取って
AAA天体と区別し、地球近傍に接近する特異小惑星の代表的なものです。
仙台市天文台では、1992年1月5日愛子観測所で発見した小惑星がアモ-ル型と判明し、後に「スノーモンスター=樹氷」で世界的に知られている「蔵王」を取って命名しました。
アポロ型は、地球のすぐそばまで接近し衝突してしまうものもあります。
隕石落下現象として大勢の方に見られることもたびたびです。

さて、今回の天体はオーストラリアのサイデング・スプリング天文台(小石川は、1986年にハレー彗星接近の折訪問しています)の50cmウプサラ・シュミット望遠鏡で、2月27日南天のとも座の中に18等級という明るさで発見されました。
28日にも同天文台で追跡観測が行われて詳しい様子がわかってきました。
それによると、3月2日13時50分UT頃(=世界時、日本時間で同日22時50分)、地球に0.00048AU(=約7.1万Km)まで大接近することが判明したのです。
このとき、1時間当たり 25°( ほぼ満月50個分)の高速で天球を移動します。
また日本は、地球大接近ころから夜明けまで観測できる絶好の観測条件となったのです。
これだけ明るくなる特異小惑星は最近ありませんでしたから1.3m 大型望遠鏡の性能チェックにと観測体制をとることにしました。
不安もありました。
これだけ高速で移動する天体であれば1.3mでは「写らないのでは・・・」ということでした。
同僚の佐藤君が観察室の機材を使用して協力してくれることになったのです。

観測方法は狙い撃ちです。
あらかじめ通過する場所の計算は、Nさんからいただいております。
それをもとにして数分前にその場所に望遠鏡を移動させておくものです。
23時過ぎから、観測開始しましたが、ちょうど仙台中心街の街明かりの影響で星の写り具合いも良くありません。
時間だけ過ぎていきます。
1.3mで何回も撮影チャレンジしますが、かすかな軌跡すらも認められません。
移動が速すぎます!そして、暗いのではという不安も出てきました。
あとは、佐藤君に期待するほかありません。
1時過ぎたありでしょうか。
佐藤君が「写ってました!」と制御室に入ってきました。
早速、画像処理を行い2009 DD45 の姿を浮かび上がらせたのでした。
明るさ的には、14等程度ではないでしょうか。

 

090302_a2009DD45_1.jpg

090302_a2009DD45_2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

  

超難物、2009 DD45 の姿を見ていただきましょう。

わずか1分間の露出中、角度の13分ほど北の方に移動してしまいました。
1と示した星は、へび座ρ星で明るさは5.7等、2は5.4等の恒星です。

むかし、小惑星捜索を行っていた時に、
観測仲間の間ではアポロ型小惑星の撮影抜成功すると「鉛筆が写ってました!」と、
電話連絡したことを思い出してしまいました。

 

小石川正弘

撮影データ

撮影日時:3月3日01時13分から1分間露光
撮影機材:市民観察室 ε180ED反射望遠鏡 F2.8
     フジファインピクスS5プロ ISO800
     ステライメージVer.6、フォトショップCS3にて画像処理(小石川)
撮 影 者:佐藤敏秀