仙台市天文台
トップページ >天体画像 >太陽系小天体 >彗星 >ホームズ彗星


大増光!ホームズ彗星
2007年10月25日

ホームズ彗星

 いやぁー、驚きました。通常16等級の彗星が2.5等級まで増光するのですから・・・
 25日午前、彗星観測仲間のTさんから「17Pのホームズ彗星が3等級まで増光しています!」との連絡が入りました。最初、何のことか分かりませんでしたが、お話していくうちに事情が判明し、何らかの影響でホームズ彗星が大増光したのです。それも、24日から25日にかけて。その夜は、満月近いこともあって火星観測をおこなっていました。月明かりもひどいものですから星座観望はしていませんでした。そんなときに限って大異変が起きていたのです。その知らせを受けてから、いろいろな情報収集を行い、観測体制を整えました。しかし、天候が心配です。長年の感で「一時的には曇りそうだが、晴れ間は出るだろう」と予測しました。
 案の定、夕方より急速に曇ってきてしまい、満月も見えないありさま。19時30分すぎ、夕食後を済ませて外に出てみてビックリ、急速に晴れ間が広がっています。早速準備していた31cm反射望遠鏡をコンピュータ制御に切り替え、焦点位置を確認しホームズ彗星を選択しました。心地よいモーター音を発しながらホームズ彗星に向かいます。そのとき、望遠鏡の向いている方向に目をやると、見慣れない星が見えたのです。あっ、あれだ! そこで止まった望遠鏡の接眼部に目をやると、見えました! まん丸のホームズ彗星が!中心部が良く輝いています。それからが大変でした。今までに培った観測手段を駆使して、翌日の01時頃までいろいろな画像を得ることができました。
 上の写真は、惑星拡大用機材で撮影しました。中心部が良く輝いていることが分かりますね。そして、明るい部分が偏芯しているようすも確認できました。それでは実際の大きさはいかほどあるのでしょうか。カメラのCCD受光部上での大きさは、約1′36″ありました。このときの地球−彗星間の距離は2億4千万Kmです。式は X(実直径) ÷ 2億4千万 = tan1′36″ で求めることができます。実直径は、おおよそ11万Kmであることが分かりました。
 下の写真は、ほぼペルセウス座全景が入っています。その中にホームズ彗星も写っています。これからこの彗星は、ゆっくりとペルセウス座α星のほうに移動していきますから、最良の観測条件となっています。これからの変化に注意しましょう。

解説 : 小石川

※彗星の実直径の記述に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(2007.11.3)

 

Copyright (c) Sendai Astronomical Observatory. All Rights Reserved.