ヴァルナの観測

新年早々、重要な観測が入っていました。
それは太陽系外縁天体(TNO)の一つであるヴァルナ(MP-No20000番)が
2日夜にふたご座の16等星の恒星を隠すと言う現象でした。
この観測に仙台市天文台の1.3mひとみ望遠鏡で観測したいと
アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)より観測員が派遣されてきたのです。
1日午後、観測用カメラなどが入った重い荷物を持ってきた20代の同大学
大学院生のAMANDA Marie Zangari女史。
1.3m制御室に入ってきたとたん「こんなに設備整っているのなら、こんな
に重い荷物持ってこなくても・・・」と感想を漏らしていました。

観測結果は、残念ながら天候に恵まれなかったと言うことと
軌道がズレてしまい恒星を隠さなかったのという結果でした。
これも立派な観測成果です。
なぜ隠さなかったのかは研究者によって解明されることでしょう。
でも、天文台にとって大成果がありました。
それは
1.太陽系外縁天体を初めて捉えた!
2.その天体の移動を確認できた!
などがあげられます。
さらに外国の研究機関と協同観測を行えたことです。

それでは食現象1日前、1月1日の画像を見ていただきましょう。


Rg20120101Varuna5comp.jpg
5枚の画像を合成しました。
恒星が2個づつ出ていますが
最後の165050UTの画像だけ撮影時間が離れてしまったためです。
ヴァルナを写真処理上固定しますと恒星は流れます。
ヴァルナは、つまり2個の恒星の間隔分移動したことになるのです。

今後も、観測要請があれば出来る限りの協力をしていこうと
新年三日目の空に向かって誓いました。

小石川正弘

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